今はスマホで簡単に小学生でもエロ画像を見られる時代。私の青春時代まで(という事は村西が立ち上がるまで)エロを入手するのが本当に困難だったのだ。エロの大時化(しけ)時代だったのだ。
我々はやっぱり基本はストリップ。神田松之丞(来年2月、伯山襲名で真打)から手紙と浅草ロック座の入場券6枚が送られて来た。「突然立候補してそっと落選した87歳の野末陳平先生をまた立たせてあげて下さい」とあったので仲間と陳平先生を誘い浅草へ。何の選挙運動もしないで9万1000票を集めたのは凄い。ロック座、出ベソのかぶりつきに陣取る翁。「百物語」と題したそのステージは文学的。3時からの回だというのにほぼ満員。
美しき姿を見てまだ明るい表へ出れば、後ろから駆け足で若者が。「今の舞台の演出を担当した者です。松之丞さんと高田センセが交互に来るときいてたもんで……ひとつ聞いていいですか。僕も日芸出身でゼミの先生がいつも“昔、学園闘争の時代にロックアウトして、たてこもった仲間のためにストリップを呼んで、癒やしたのが、今のあの高田文夫だ。そんな状況でもエンタメを供給したんだ”って。あれは都市伝説ですか?」
ちっちゃな江古田伝説だ。
◆イラスト/佐野文二郎
※週刊ポスト2019年9月20・27日号