ライフ

【著者に訊け】逢坂剛氏 人気シリーズが完結『百舌落とし』

逢坂剛氏が最新作を語る

【著者に訊け】逢坂剛氏/『百舌落とし』/2000円+税/集英社

 タイトルは知る人ぞ知る、野鳥狩猟の囮作戦のこと。

「百舌(もず)も相当に残虐な鳥だけど、その瞼を縫って木にくくりつけ、ギャーギャー泣き喚く声で他の鳥を誘き出す作戦らしい。私も昔、日本国語大辞典で見た時は驚いたけど、残酷な百舌がより残酷な人間に利用される構図が、このシリーズの締めにはぴったりでした」

 逢坂剛作「百舌シリーズ」の完結編は、元民政党議員〈茂田井滋〉が両瞼を縫い合わされた上で殺されるという怪事件で幕を開ける。被害者は頸部を千枚通しで一突きされ、現場には例の鳥の羽が。そう、あの伝説の殺人鬼、百舌の手口だ。

 が、警察内部で男たちを篭絡し、組織壊滅を図った美人警官〈洲走(すばしり)かりほ〉は既に死亡し、前作の容疑者も消息不明に。そして黒幕の民政党幹事長〈三重島茂〉だけがなおも生き残る中、池袋で探偵を営む元刑事〈大杉良太〉や公共安全局に出向中の特別監察官〈倉木美希〉が新たな陰謀を疑うのも無理はない。何度も蘇り、決して絶えることがないのが、この世の悪であり、百舌なのだから。

 シリーズ第1作『百舌の叫ぶ夜』から早33年。エピソード0『裏切りの日日』からは、実に38年が経った。

「ホント、よく書いてきたと思いますよ。私は基本、シリーズは3作までと決めているんですが、読者に続編を期待されるとつい未練が出てね。やはり長年育ててきた人物には愛着もありますし。そのわりには作品内ではさっさと処分しちゃうんだけど(笑い)」

関連記事

トピックス

小林ひとみ
結婚したのは“事務所の社長”…元セクシー女優・小林ひとみ(62)が直面した“2児の子育て”と“実際の収入”「背に腹は代えられない」仕事と育児を両立した“怒涛の日々” 
NEWSポストセブン
松田聖子のものまねタレント・Seiko
《ステージ4の大腸がん公表》松田聖子のものまねタレント・Seikoが語った「“余命3か月”を過ぎた現在」…「子供がいたらどんなに良かっただろう」と語る“真意”
NEWSポストセブン
今年5月に芸能界を引退した西内まりや
《西内まりやの意外な現在…》芸能界引退に姉の裁判は「関係なかったのに」と惜しむ声 全SNS削除も、年内に目撃されていた「ファッションイベントでの姿」
NEWSポストセブン
(EPA=時事)
《2025の秋篠宮家・佳子さまは“ビジュ重視”》「クッキリ服」「寝顔騒動」…SNSの中心にいつづけた1年間 紀子さまが望む「彼女らしい生き方」とは
NEWSポストセブン
イギリス出身のお騒がせ女性インフルエンサーであるボニー・ブルー(AFP=時事)
《大胆オフショルの金髪美女が小瓶に唾液をたらり…》世界的お騒がせインフルエンサー(26)が来日する可能性は? ついに編み出した“遠隔ファンサ”の手法
NEWSポストセブン
日本各地に残る性器を祀る祭りを巡っている
《セクハラや研究能力の限界を感じたことも…》“性器崇拝” の“奇祭”を60回以上巡った女性研究者が「沼」に再び引きずり込まれるまで
NEWSポストセブン
初公判は9月9日に大阪地裁で開かれた
「全裸で浴槽の中にしゃがみ…」「拒否ったら鼻の骨を折ります」コスプレイヤー・佐藤沙希被告の被害男性が明かした“エグい暴行”「警察が『今しかないよ』と言ってくれて…」
NEWSポストセブン
指名手配中の八田與一容疑者(提供:大分県警)
《ひき逃げ手配犯・八田與一の母を直撃》「警察にはもう話したので…」“アクセルベタ踏み”で2人死傷から3年半、“女手ひとつで一生懸命育てた実母”が記者に語ったこと
NEWSポストセブン
初公判では、証拠取調べにおいて、弁護人はその大半の証拠の取調べに対し不同意としている
《交際相手の乳首と左薬指を切断》「切っても再生するから」「生活保護受けろ」コスプレイヤー・佐藤沙希被告の被害男性が語った“おぞましいほどの恐怖支配”と交際の実態
NEWSポストセブン
国分太一の素顔を知る『ガチンコ!』で共演の武道家・大和龍門氏が激白(左/時事通信フォト)
「あなたは日テレに捨てられたんだよっ!」国分太一の素顔を知る『ガチンコ!』で共演の武道家・大和龍門氏が激白「今の状態で戻っても…」「スパッと見切りを」
NEWSポストセブン
2009年8月6日に世田谷区の自宅で亡くなった大原麗子
《私は絶対にやらない》大原麗子さんが孤独な最期を迎えたベッドルーム「女優だから信念を曲げたくない」金銭苦のなかで断り続けた“意外な仕事” 
NEWSポストセブン
ドラフト1位の大谷に次いでドラフト2位で入団した森本龍弥さん(時事通信)
「二次会には絶対来なかった」大谷翔平に次ぐドラフト2位だった森本龍弥さんが明かす野球人生と“大谷の素顔”…「グラウンドに誰もいなくなってから1人で黙々と練習」
NEWSポストセブン