みんなは手をつないで立っているのに、自分だけ座っているという高低差も屈辱だ。
一刻も早く鬼の境遇から抜け出したい。ズルをして薄目を開けて、友達の靴を見れば、「後ろの正面、だあれ」は百発百中、当たる。
が、そうすると、「なんでわかったんだ」とズルを疑われて、問い詰められる。
それだけじゃない。鬼のしゃがむ姿勢が、私たちの世代からダメになってきた。和式トイレに座るあの格好をするとすぐにひざが笑い、太ももはパンパン。
地方のサービスエリアのトイレで空きがあると、必ずといって和式だ。作った当時はそれなりの理由があったのだろうけど、今や足踏みしてガマンしてでも、和式は使いたくない。
それにしてもなぜこの童謡が今に伝わったのか。私は人の心の奥底に潜む、誰かをいじめたいという薄暗い欲望が隠れているような気がしてならない。
※女性セブン2019年9月26日・10月3日号