◆スマホ決済アプリなどの全額還元をどう活用するか
スマホ決済アプリなどでは、期間限定のキャンペーンとして、利用時に、ある確率で利用額がすべてポイント還元される「全額還元」を行うことがある。全額還元は、利用額がタダになるということなので、大きなおトク感が得られる。
それでは、実際にどれくらいおトクなのだろうか。これも、筆者の設定した事例で考えてみよう。
【事例3】
スマホ決済アプリの利用時に、10回に1回の確率で、利用額が全額還元される。1か月の還元額の上限は5万円とする(各利用時に全額還元となる確率は、独立であると想定する)。
実際の利用額は毎回異なるだろうが、話を簡単にするために、ここでは1回の利用額を1000円と仮定する。この仮定のもとでは、1か月に50回全額還元されたときに、ようやく上限の5万円に達する。しかし、こうしたことはほとんど起こらないので、上限のことは意識しなくてよいだろう。
さて、10回に1回の確率で全額還元というのだから、10回利用すれば1回はタダになると考えるのが自然だ。これは平均的には正しいが、実際には10回のうち2回以上タダになることもあれば、1回もタダにならないこともある。毎回の利用時に、10分の1の確率で全額還元かどうかが決まるためだ。
つまり、全額還元の回数は、ある確率で分布することになる。この分布は「二項分布」と呼ばれる。
たとえば、全部で10回、20回、30回、40回、50回利用するケースを考えてみよう。全額還元が10%未満の回数しか出ない場合、10%以上20%未満の回数で出る場合、20%以上の回数も出る場合──の3つが、どの程度の割合になるかを計算してみたところ、次のようになった。