溝口:ヤクザの根っこに関わるところで、困っている人を助けるという「任侠」の心の部分。金銭的なメリットなんてないんだから。運送業者からトラックを手配して、物資をかき集めて運ぶまで、すべて自腹を切っている。
鈴木:別に組織の上から命令されたわけじゃなく、30~40代の若手の組長たちがニュース見て思い立ったらもう行っている。とにかく早くて、東日本大震災でも、政府が原発事故で右往左往しているときにはもう駆けつけていました。それも、トラックを手配したり物資を調達したりをすぐできる力があるからこそできることですが。
●みぞぐち・あつし/ジャーナリスト。1942年、東京生まれ。早稲田大学政経学部卒業。ノンフィクション作家。『食肉の帝王』で2004年に講談社ノンフィクション賞を受賞。主な著書に『暴力団』『山口組三国志 織田絆誠という男』『さらば! サラリーマン』など。
●すずき・ともひこ/フリーライター。1966年、北海道生まれ。日本大学芸術学部写真学科除籍。ヤクザ専門誌『実話時代』編集部に入社。『実話時代BULL』編集長を務めた後、フリーに。主な著書に『潜入ルポ ヤクザの修羅場』『ヤクザと原発』『サカナとヤクザ』など。
※週刊ポスト2019年10月11日号