舛添要一氏

 1937年7月には、「大ドイツ芸術展」と「退廃芸術展」とを同時に開催します。前者はナチスが公認した美術作品を集めたもので、後者はナチスの思想にそぐわないとして排除された作品群です。

 退廃芸術展について、ブレーカーという彫刻家の証言が残っています。

「作品はわずかの部屋にぎっしりとつめこまれ、できるだけ無意味でばかげたものにみえるように陳列された。絵画と彫刻は愚弄するような表題と説明文をつけられ、その言葉のために劣悪なものにみえることもあった」

 あえて侮蔑されるように、仕組まれたのが退廃芸術展です。ところが、フタをあけてみれば大ドイツ美術展は60万人が来場したのに対し、退廃美術展は200万人が訪れました。当時のドイツ国民にも人気だったピカソやマチス、ルオーらの作品が一堂に会した退廃美術展が活況を呈すのは当たり前であり、皮肉な結果と言えるでしょう。

 話を戻します。芸術とは、国家のコントロールが及ばないからこそ、輝きを放つのです。では、国家のお金を期待するな、公金を支出するなという話に飛躍しそうですが、それは違います。なぜなら公金の支出は、「表現の自由」を担保するために絶対に必要だからです。いまの時代、私企業にその余裕がないでしょうから。

 最後に「不自由展」の再開に反対する人びとにひと言、私が敬愛する哲学者ヴォルテール流に言います。「私は貴方の展示会の内容には反対だ。しかし、貴方がそれを展示できるように最後まで戦う」。特に、昨今の政治家に求めたい姿勢です。

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