ライフ

現代社会は「事実上の一夫多妻」という男にとって残酷な現実

「一夫多妻」で一番割りを食うのは誰か(Getty Images)

「少子高齢化」が今後の日本の大きな課題であることはいうまでもない。その要因のひとつが「未婚率」の高さであり、いまや30代男性の未婚率は35.0%(2015年)と3人に1人が独身である。一方で30代女性の未婚率は23.9%(同)と4人に1人にとどまり、結婚を巡る男女差が生じているのが実態だ。

 この男女の差について、著書『上級国民/下級国民』(小学館新書)で「モテ/非モテ」の分断についても言及している作家・橘玲氏は、こう分析する。

「男女の数がほぼ同数であるなら、未婚率が大きく異なる理由はひとつしかありません。一部の男が複数の女性と結婚する“事実上の一夫多妻”になっているのです。“モテ”の男性が未婚の(若い)女性と再婚し、離婚した女性は再婚せずに母子家庭のまま暮らすと考えれば、男女の未婚率の違いが説明できます」(以下同)

「一夫多妻」というと男が複数の女性を支配するイメージが強く、「女性差別」のように思われているが、橘氏は「むしろ逆ではないか」と指摘する。

「理屈のうえでは、一夫多妻は女性に有利で男性に不利、一夫一妻は男性に有利で女性に不利な制度です。

 大きな富と権力を持つ男が複数の女性と婚姻することができ、妻たちの権利が法によって保護されているとしましょう。100億円の富をもつ男が10人の女性と結婚するなら、妻1人当たりの権利は10億円です。このようにして“いい女”を富裕層の男が独占していくと、さほど魅力的でない女性もよりゆたかな男性と結婚することができます。しかしこれでは、カネも権力もない膨大な男が社会の下層に吹きだまることになる。これでは社会が安定しないので、近代国家は男に有利な一夫一妻制を強制しているのです。

 現実には、欧米や日本のような先進国で共通して増えているのは、一部の男が結婚と離婚を繰り返す“時間差の一夫多妻”です。離婚には金銭的・精神的に大きなコストがかかりますが、それを穏便に解決して再婚できるのは、それなりの社会的・経済的地位のある男性でしょう。アマゾン創業者のジェフ・ベゾスは離婚にあたって約4兆円分の株式を妻に分与したそうですが、多額の慰謝料・養育費がちゃんと支払われるなら離婚してもいいという女性はたくさんいるのではないでしょうか」

関連キーワード

関連記事

トピックス

高市早苗首相(時事通信フォト)
《日中外交で露呈》安倍元首相にあって高市首相になかったもの…親中派不在で盛り上がる自民党内「支持率はもっと上がる」
NEWSポストセブン
阿部なつき(C)Go Nagai/Dynamic Planning‐DMM
“令和の峰不二子”こと9頭身グラドル・阿部なつき「リアル・キューティーハニー」に挑戦の心境語る 「明るくて素直でポジティブなところと、お尻が小さめなところが似てるかも」
週刊ポスト
高市早苗首相の「台湾有事」発言以降、日中関係の悪化が止まらない(時事通信フォト)
「現地の中国人たちは冷めて見ている人がほとんど」日中関係に緊張高まるも…日本人駐在員が明かしたリアルな反応
NEWSポストセブン
大谷翔平が次のWBC出場へ 真美子さんの帰国は実現するのか(左・時事通信フォト)
《大谷翔平選手交えたLINEグループでやりとりも》真美子さん、産後対面できていないラガーマン兄は九州に…日本帰国のタイミングは
NEWSポストセブン
11月24日0時半ごろ、東京都足立区梅島の国道でひき逃げ事故が発生した(現場写真/読者提供)
【“分厚い黒ジャケット男” の映像入手】「AED持ってきて!」2人死亡・足立暴走男が犯行直前に見せた“奇妙な”行動
NEWSポストセブン
10月22日、殺人未遂の疑いで東京都練馬区の国家公務員・大津陽一郎容疑者(43)が逮捕された(時事通信フォト/共同通信)
《赤坂ライブハウス刺傷》「2~3日帰らないときもあったみたいだけど…」家族思いの妻子もち自衛官がなぜ”待ち伏せ犯行”…、親族が語る容疑者の人物像とは
NEWSポストセブン
ミセス・若井(左、Xより)との“通い愛”を報じられたNiziUのNINA(右、Instagramより)
《ミセス若井と“通い愛”》「嫌なことや、聞きたくないことも入ってきた」NiziU・NINAが涙ながらに吐露した“苦悩”、前向きに披露した「きっかけになったギター演奏」
NEWSポストセブン
「ラオ・シルク・レジデンス」を訪問された天皇皇后両陛下の長女・愛子さま(2025年11月21日、撮影/横田紋子)
「華やかさと品の良さが絶妙」愛子さま、淡いラベンダーのワンピにピンクのボレロでフェミニンなコーデ
NEWSポストセブン
クマ被害で亡くなった笹崎勝巳さん(左・撮影/山口比佐夫、右・AFP=時事)
《笹崎勝巳レフェリー追悼》プロレス仲間たちと家族で送った葬儀「奥さんやお子さんも気丈に対応されていました」、クマ襲撃の現場となった温泉施設は営業再開
NEWSポストセブン
役者でタレントの山口良一さん
《笑福亭笑瓶さんらいなくなりリポーターが2人に激減》30年以上続く長寿番組『噂の!東京マガジン』存続危機を乗り越えた“楽屋会議”「全員でBSに行きましょう」
NEWSポストセブン
11月16日にチャリティーイベントを開催した前田健太投手(Instagramより)
《いろんな裏切りもありました…》前田健太投手の妻・早穂夫人が明かした「交渉に同席」、氷室京介、B’z松本孝弘の妻との華麗なる交友関係
NEWSポストセブン
イギリス出身のインフルエンサー、ボニー・ブルー(Instagramより)
《1日で1000人以上と関係を持った》金髪美女インフルエンサーが予告した過激ファンサービス… “唾液の入った大量の小瓶”を配るプランも【オーストラリアで抗議活動】
NEWSポストセブン