ライフ

水害時に「入居者の安全を確保できる介護施設」の見分け方

水害時、安全な介護施設は?(時事通信フォト)

 各地で観測史上最高雨量を記録した台風19号は、70人を超える犠牲者を出し、全国50以上の河川を氾濫、決壊させるなど甚大な被害をもたらした。

 埼玉県川越市の特別養護老人ホーム「川越キングス・ガーデン」では、近くを流れる越辺川の氾濫で施設が浸水し、利用者ら100人以上が一時、孤立した。同施設は停電でエレベーターが使用不可となったが、事前に夜勤職員を20人ほどに増員したため、無事に利用者を建物上階へ避難させることができたという。

 しかし、河川や山の斜面の近くにあり、水害や土砂災害の危険性がある介護施設は存在する。介護業界に詳しいケアタウン総合研究所代表の高室成幸氏が言う。

「介護施設の中には、法律で原則として建物を建てることが禁止された『市街化調整区域』に建てられている施設があります。そうした地域は農業や林業向けのエリアで、河川や山の斜面が近く、水害や土砂災害のリスクが高い場所がある。

 しかし、避難計画や訓練は十分に行なわれているとは言い難いのが現状です。2016年の台風10号で岩手県の介護施設の入所者9人が逃げ遅れて犠牲になった前例を受け、浸水想定区域と土砂災害警戒区域にある介護施設などには、避難計画の作成と避難訓練の実施が義務付けられましたが、国交省によると、2018年3月末時点で、全国6万超の対象施設のうち、避難計画を作成しているのは浸水想定区域で17.7%、土砂災害警戒区域で14.5%しかありません」

 そのため、施設の利用者や家族は「入所中、または入所検討中の施設が対象区域かどうか」を市区町村の防災担当課などに確認することが大切だ。該当地域にある場合、施設に避難計画の有無を確認したい。

関連キーワード

関連記事

トピックス

11月24日0時半ごろ、東京都足立区梅島の国道でひき逃げ事故が発生した(右/読者提供)
【足立区11人死傷】「ドーンという音で3メートル吹き飛んだ」“ブレーキ痕なき事故”の生々しい目撃談、28歳被害女性は「とても、とても親切な人だった」と同居人語る
NEWSポストセブン
愛子さま(写真/共同通信社)
《中国とASEAN諸国との関係に楔を打つ第一歩》愛子さま、初の海外公務「ラオス訪問」に秘められていた外交戦略
週刊ポスト
グラビア界の「きれいなお姉さん」として確固たる地位を固めた斉藤里奈
「グラビアに抵抗あり」でも初挑戦で「現場の熱量に驚愕」 元ミスマガ・斉藤里奈が努力でつかんだ「声のお仕事」
NEWSポストセブン
「アスレジャー」の服装でディズニーワールドを訪れた女性が物議に(時事通信フォト、TikTokより)
《米・ディズニーではトラブルに》公共の場で“タイトなレギンス”を普段使いする女性に賛否…“なぜ局部の形が丸見えな服を着るのか” 米セレブを中心にトレンド化する「アスレジャー」とは
NEWSポストセブン
日本体育大学は2026年正月2日・3日に78年連続78回目の箱根駅伝を走る(写真は2025年正月の復路ゴール。撮影/黒石あみ<小学館>)
箱根駅伝「78年連続」本戦出場を決めた日体大の“黄金期”を支えた名ランナー「大塚正美伝説」〈1〉「ちくしょう」と思った8区の区間記録は15年間破られなかった
週刊ポスト
「高市答弁」に関する大新聞の報じ方に疑問の声が噴出(時事通信フォト)
《消された「認定なら武力行使も」の文字》朝日新聞が高市首相答弁報道を“しれっと修正”疑惑 日中問題の火種になっても訂正記事を出さない姿勢に疑問噴出
週刊ポスト
地元コーヒーイベントで伊東市前市長・田久保真紀氏は何をしていたのか(時事通信フォト)
《シークレットゲストとして登場》伊東市前市長・田久保真紀氏、市長選出馬表明直後に地元コーヒーイベントで「田久保まきオリジナルブレンド」を“手売り”の思惑
週刊ポスト
ラオスへの公式訪問を終えた愛子さま(2025年11月、ラオス。撮影/横田紋子)
《愛子さまがラオスを訪問》熱心なご準備の成果が発揮された、国家主席への“とっさの回答” 自然体で飾らぬ姿は現地の人々の感動を呼んだ 
女性セブン
26日午後、香港の高層集合住宅で火災が発生した(時事通信フォト)
《日本のタワマンは大丈夫か?》香港・高層マンション大規模火災で80人超が死亡、住民からあがっていた「タバコの不始末」懸念する声【日本での発生リスクを専門家が解説】
NEWSポストセブン
山上徹也被告(共同通信社)
「金の無心をする時にのみ連絡」「断ると腕にしがみついて…」山上徹也被告の妹が証言した“母へのリアルな感情”と“家庭への絶望”【安倍元首相銃撃事件・公判】
NEWSポストセブン
被害者の女性と”関係のもつれ”があったのか...
《赤坂ライブハウス殺人未遂》「長男としてのプレッシャーもあったのかも」陸上自衛官・大津陽一郎容疑者の “恵まれた生育環境”、不倫が信じられない「家族仲のよさ」
NEWSポストセブン
「週刊ポスト」本日発売! 習近平をつけ上がらせた「12人の媚中政治家」ほか
「週刊ポスト」本日発売! 習近平をつけ上がらせた「12人の媚中政治家」ほか
NEWSポストセブン