10月19日、餓死事件について韓国政府に対する抗議集会が開かれた。何十万人という韓国人が集まったチョ国前法相に対する抗議デモに比べると、人数こそ僅かであったが、その声は切実なものだった。自身も集会に参加していた李氏はこう訴える。
「韓国社会のなかでも、私たちは外国人労働者以下の存在として扱われ、援助されるどころか排斥されている。政府も脱北者に対して極めて冷淡で、時には犯罪者のように扱います。母子が餓死した事件は、脱北者の過酷な現状を端的に示しているのです。同族が命をかけて亡命してきたのに、政治目的のために北に送り返す。または餓死させる。文政権の下、いかに脱北者の命が軽んじられてきたのかを、私は国際社会に訴えたい」
脱北者たちの悲痛な声訴を、文政権はどう聞くのか──。
●あかいし・しんいちろう/『FRIDAY』『週刊文春』記者を経て今年1月よりフリーに。南アフリカ・ヨハネスブルグ出身。
※週刊ポスト2019年11月8・15日号