スポーツ

沢村賞該当者なし、金田正一氏が語った「先発完投」への思い

400勝投手は沢村賞を3度受賞した

 プロ野球で、そのシーズンに最も活躍した先発完投型の投手に贈られる「沢村賞」が、19年ぶりに「該当者なし」と決まった。セットアッパー、クローザーなど投手の“分業制”が進んだ結果ともいえるが、前人未到の400勝、そして365完投という記録を残し、10月6日に86歳で亡くなった金田正一氏は生前、週刊ポスト記者にそうした潮流への危惧、そして自身の「先発完投」への思いを語っていた。

 10月21日に開かれた沢村賞の選考会後、堀内恒夫・選考委員長は「賞のレベルをこれ以上、下げたくない。完投しなくてもいいとなると、沢村さんの名前に傷をつけてしまう」と見送りの理由を説明した。

 今回、最終候補に残ったのは各リーグで最多勝に輝いた巨人・山口俊(15勝、防御率2.91)と日本ハム・有原航平(15勝、防御率2.46)。選考基準7項目のうち、勝利数、奪三振など4項目はクリアしたが、投球回数や完投数など3項目で基準に到達しなかった。

「分業制が進むなど、野球のシステムが変わって先発完投がほとんどなくなった」と堀内委員長が評した通り、山口は完投ゼロ、有原は1試合だけだった。

 国鉄、巨人で活躍した400勝投手の故・金田正一氏は沢村賞に3度輝いたが、生前、記者にこう語っていた。

「今の若い選手はどんな目標を持って野球をしとるんじゃろうな。投手として憧れのプロに入れたのならば、まずは先発完投を目指すと思うがな。若い頃のワシはスタルヒン(元巨人ほか)のシーズン38完投(1939年)を目指していたよ」

 実際、金田氏はプロ6年目の1955年にシーズン34完投の記録を残している。

関連記事

トピックス

今季から選手活動を休止することを発表したカーリング女子の本橋麻里(Xより)
《日本が変わってきてますね》ロコ・ソラーレ本橋麻里氏がSNSで参院選投票を促す理由 講演する機会が増えて…支持政党を「推し」と呼ぶ若者にも見解
NEWSポストセブン
白石隆浩死刑囚
《女性を家に連れ込むのが得意》座間9人殺害・白石死刑囚が明かしていた「金を奪って強引な性行為をしてから殺害」のスリル…あまりにも身勝手な主張【死刑執行】
NEWSポストセブン
失言後に記者会見を開いた自民党の鶴保庸介氏(時事通信フォト)
「運のいいことに…」「卒業証書チラ見せ」…失言や騒動で謝罪した政治家たちの実例に学ぶ“やっちゃいけない謝り方”
NEWSポストセブン
球種構成に明らかな変化が(時事通信フォト)
大谷翔平の前半戦の投球「直球が6割超」で見えた“最強の進化”、しかしメジャーでは“フォーシームが決め球”の選手はおらず、組み立てを試行錯誤している段階か
週刊ポスト
参議院選挙に向けてある動きが起こっている(時事通信フォト)
《“参政党ブーム”で割れる歌舞伎町》「俺は彼らに賭けますよ」(ホスト)vs.「トー横の希望と参政党は真逆の存在」(トー横キッズ)取材で見えた若者のリアルな政治意識とは
NEWSポストセブン
ベビーシッターに加えてチャイルドマインダーの資格も取得(横澤夏子公式インスタグラムより)
芸人・横澤夏子の「婚活」で学んだ“ママの人間関係構築術”「スーパー&パークを話のタネに」「LINE IDは減るもんじゃない」
NEWSポストセブン
LINEヤフー現役社員の木村絵里子さん
LINEヤフー現役社員がグラビア挑戦で美しいカラダを披露「上司や同僚も応援してくれています」
NEWSポストセブン
モンゴル滞在を終えて帰国された雅子さま(撮影/JMPA)
雅子さま、戦後80年の“かつてないほどの公務の連続”で体調は極限に近い状態か 夏の3度の静養に愛子さまが同行、スケジュールは美智子さまへの配慮も 
女性セブン
場所前には苦悩も明かしていた新横綱・大の里
新横綱・大の里、場所前に明かしていた苦悩と覚悟 苦手の名古屋場所は「唯一無二の横綱」への起点場所となるか
週刊ポスト
医療的ケア児の娘を殺害した母親の公判が行われた(左はイメージ/Getty、右は福岡地裁)
24時間介護が必要な「医療的ケア児の娘」を殺害…無理心中を計った母親の“心の線”を切った「夫の何気ない言葉」【判決・執行猶予付き懲役3年】
NEWSポストセブン
近況について語った渡邊渚さん(撮影/西條彰仁)
渡邊渚さんが綴る自身の「健康状態」の変化 PTSD発症から2年が経ち「生きることを選択できるようになってきた」
NEWSポストセブン
昨年12月23日、福島県喜多方市の山間部にある民家にクマが出現した(写真はイメージです)
《またもクレーム殺到》「クマを殺すな」「クマがいる土地に人間が住んでるんだ!」ヒグマ駆除後に北海道の役場に電話相次ぐ…猟友会は「ヒグマの肉食化が進んでいる」と警鐘
NEWSポストセブン