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2019.11.05 07:00  NEWSポストセブン

N国・立花孝志氏がホリエモンや清原和博氏に出馬要請する狙い

掲示責任者である堀江貴文氏の名前が立候補している立花孝志党首と同じ大きさという異例の選挙ポスター

掲示責任者である堀江貴文氏の名前が立候補している立花孝志党首と同じ大きさという異例の選挙ポスター

◆NHKのスクランブル放送実現まで何年待てるのか

 ここで有権者は大切なことを意識しなければならない。それは立花党首の言動だ。

 N国の立花党首は、党の集票の広告塔となりうる人物を選挙に立候補させ、党勢の拡大を目指している。そして驚くべきことに、「選挙の得意な人は選挙だけすればいい」「当選したら、政治は別の人がすればいい」とも発言している。

 たとえば、先の参議院埼玉補欠選では、立花党首の選挙ポスター掲示責任者として堀江貴文氏が名前を連ねていた。しかも、堀江氏の名前は候補者名とほぼ同じ大きさで大書されていた。ポスターに掲示責任者の名前を明記することは公職選挙法で定められているが、文字のサイズに規制はない。普通であれば、選挙の「主役」である候補者の名前を大書して、掲示責任者の名前は読めないほど小さく書く。まさかここまで掲示責任者の名前を大きく書いてアピールする候補が現れるとは、は誰も想定していなかったはずだ。

 立花党首は次期総選挙において、堀江氏を埼玉5区(立憲民主党の枝野幸男代表の地盤)と北関東ブロックに重複立候補させる計画を再三にわたって話してきた。堀江氏はいまのところ態度を明確にしていないが、立花党首は「おそらく出るでしょう」と繰り返している。出馬を明確には否定せず、話題が継続する余地を残している時点で、堀江氏は十分に「N国の広告塔」としての役割を果たしている。

 仮に堀江氏が埼玉5区で立候補したとしても、問題は残る。いくら有権者が「ホリエモンを政治家に」と願って投票しても、堀江氏が政治家として全く活動しない可能性があるからだ。立花党首の中では、あくまでもホリエモンは「選挙だけをする人」。政治をするのは全く別の人になる可能性がある。有権者は、N国やN国の候補者に投票する前に、そのことを十分に認識しておく必要がある。

 さらに立花党首は筆者の質問に対し、「清原さん(元プロ野球選手の清原和博氏)にも出馬を打診しています」とも明かしている。出馬交渉が難航していることは認めているが、それでも実名を出すことはやめない。名前を出すだけで広告効果があることを知っているからだ。交渉中の相手の実名をバンバン出すことも、従来の常識では考えられないことだろう。

 もし、有権者にとって唯一の救いがあるとすれば、N国が事実を隠そうとはしないことだ。筆者がN国の公約のキモである「NHKのスクランブル放送実現にはどれくらいの時間がかかるのか」について質問すると、立花党首はこう答えた。

「簡単にはいかないでしょうね。5年から10年はかかるのかなと思っています」

 しかし、5年後、10年後にスクランブル放送が実現できるかどうかは、全くの未知数だ。年間2万5千円ほどの受信料を「安心して払わない」ために、他の政策課題を犠牲にしてまで何年も待ち続ける有権者がどれほどいるだろうか。

 世の中に、「N国には常識が通用しない。面倒だから関わりたくない」という感情があるのはよくわかる。しかし、そうした考えはN国の実態をより不透明にし、結果としてN国を支える力になってしまうことを忘れてはいけない。

 いま必要なのは、特定の政党を熱狂的に支持することでも、感情的に怒ることでも、完全に無視することでもない。各政党の政策や実態に関する情報収集を進め、「一票を託す価値があるのか」を冷静に判断することだ。

●はたけやま みちよし/フリーランスライター。1973年生まれ。早稲田大学在学中から取材、執筆を始める。泡沫候補と呼ばれる立候補者たちを追った『黙殺 報じられない“無頼系独立候補”たちの戦い』(集英社)で第15回開高健ノンフィクション賞受賞。他の著書に『記者会見ゲリラ戦記』(扶桑社新書)、『領土問題、私はこう考える!』(集英社)など。

黙殺 報じられない“無頼系独立候補”たちの戦い

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