◆恋愛したい夫、家族でいたい妻

二人が再び”恋人”に戻る時は来るのだろうか

 剛さんの浮気対して嫉妬はあったが、慶子さんの頭に「離婚」が浮かんだことは一度もなかったという。だからこそ、剛さんからその二文字を切り出された時はショックだった。それは一人息子の大学受験の前の年だった。

「息子が大学生になったら離婚したいと言われたんです」

 剛さんは浮気を繰り返すうちに、長く付き合う女性ができていたようだ。その彼女と新しい生活を始めたい、と告げられた。

「オレはまだ恋愛したいんだよね、とも言われたんです。彼が浮気して以来、私たちにもはや男女の関係はなかったし、夫婦といっても同居人のようなものだったことは確かです。でも、私は、どうしても“うん”と言えなかった……」

 慶子さんが離婚を拒否すると、剛さんは、気持ちが落ち着くまで待つからゆっくり考えて欲しいと言った。そういう対応に剛さんの愛を感じたが、「君もまだ若いんだし、誰か好きな人をつくったほうが幸せなんじゃない?」と言われると、心が凍る思いをした。それでも、大学に進学してから一人暮らしを始めた息子が家に帰って来る日には、三人で食卓を囲む。慶子さんには、どうして離婚しなければならいのか? という思いが強まっていった。

「最近、彼が帰ってこなくなりました。でも、息子のためにも、家族という“器”をいつまでも保っておこうと思います。はっきりいって、私には、もう新たな出会いは望めない。今さら一人になっても空しいだけ。もちろん経済的に夫には頼っていないし、これからも、頼るつもりはありません。お財布は別々です。彼には何の迷惑もかけていない。だからこそ、離婚を拒否していいと思うんです。浮気は今回も許してあげるつもりです」

 離婚を望む夫と、別れたくない妻。慶子さんが求めているのは、妻の座か、夫の愛情か。最後に問うと慶子さんはこう答えた。

「私はこれまで、勉強も仕事も子育ても精一杯頑張って、成長してきました。夫婦も、いろいろあるけれど、一人で生きるより二人のほうがきっと成長できると思うんです。いまは独身も増えているけど、私にはラクをしているように思える。だから私は離婚しないんだと思います」

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