ライフ

前立腺がん手術、男性にとって重要な機能失うリスクも

前立腺がんの検査はどれが良い?

 人間ドックのオプションなどで見る「PSA検査」。PSAとは「前立腺特異抗原」のことで、前立腺から分泌されるタンパク質を指す。微量のPSAが血液中に取り込まれるが、その値が大きくなると前立腺がんの可能性が指摘されることになる。医療経済ジャーナリストの室井一辰氏がいう。

「前立腺に炎症やがんができると血液中にPSAが増えることを利用した検査です。ただし、がん以外に前立腺肥大や前立腺炎でも数値が上がる。また前立腺がんは進行が遅いにもかかわらず、PSA値が高くなると過剰な医療が施されがちであることも問題です。

 2014年の時点で、日本人男性の前立腺がん罹患率は11人に1人。死亡率を見ると75人に1人と少なく、10年生存率は78%。死亡リスクの比較的低いがんなのです」

 海外の研究によれば、別の病気で亡くなった60~79歳の男性を解剖したところ、7割から前立腺がんが見つかったと報告されている。前立腺がんになっていても、気付かないまま一生を終えることが多いのだ。

 にもかかわらず、前立腺がんを切除する外科手術に踏み切る医師が多い。その代償として、尿漏れやED(勃起不全)など、男性にとって重要な機能が失われる場合も珍しくない。命と引き換えであれば致し方ないが、命に別状がないのに受けた手術でも納得がいくだろうか。

「アメリカ予防医学専門委員会は、2018年まで前立腺がん検査は不要としてきました。同年、『55~69歳の男性であれば医師と過剰診断のことを相談したうえであれば検査を受けてもいい』と改訂しています」(室井氏)

 前立腺がんの進行スピードを考えると、50~60代のうちは1~3年に1度の検査、70代以上は検査不要になると考えられているわけだ。

※週刊ポスト2019年11月8・15日号

関連キーワード

関連記事

トピックス

高市早苗首相(時事通信フォト)
《日中外交で露呈》安倍元首相にあって高市首相になかったもの…親中派不在で盛り上がる自民党内「支持率はもっと上がる」
NEWSポストセブン
阿部なつき(C)Go Nagai/Dynamic Planning‐DMM
“令和の峰不二子”こと9頭身グラドル・阿部なつき「リアル・キューティーハニー」に挑戦の心境語る 「明るくて素直でポジティブなところと、お尻が小さめなところが似てるかも」
週刊ポスト
高市早苗首相の「台湾有事」発言以降、日中関係の悪化が止まらない(時事通信フォト)
「現地の中国人たちは冷めて見ている人がほとんど」日中関係に緊張高まるも…日本人駐在員が明かしたリアルな反応
NEWSポストセブン
大谷翔平が次のWBC出場へ 真美子さんの帰国は実現するのか(左・時事通信フォト)
《大谷翔平選手交えたLINEグループでやりとりも》真美子さん、産後対面できていないラガーマン兄は九州に…日本帰国のタイミングは
NEWSポストセブン
11月24日0時半ごろ、東京都足立区梅島の国道でひき逃げ事故が発生した(現場写真/読者提供)
【“分厚い黒ジャケット男” の映像入手】「AED持ってきて!」2人死亡・足立暴走男が犯行直前に見せた“奇妙な”行動
NEWSポストセブン
10月22日、殺人未遂の疑いで東京都練馬区の国家公務員・大津陽一郎容疑者(43)が逮捕された(時事通信フォト/共同通信)
《赤坂ライブハウス刺傷》「2~3日帰らないときもあったみたいだけど…」家族思いの妻子もち自衛官がなぜ”待ち伏せ犯行”…、親族が語る容疑者の人物像とは
NEWSポストセブン
ミセス・若井(左、Xより)との“通い愛”を報じられたNiziUのNINA(右、Instagramより)
《ミセス若井と“通い愛”》「嫌なことや、聞きたくないことも入ってきた」NiziU・NINAが涙ながらに吐露した“苦悩”、前向きに披露した「きっかけになったギター演奏」
NEWSポストセブン
「ラオ・シルク・レジデンス」を訪問された天皇皇后両陛下の長女・愛子さま(2025年11月21日、撮影/横田紋子)
「華やかさと品の良さが絶妙」愛子さま、淡いラベンダーのワンピにピンクのボレロでフェミニンなコーデ
NEWSポストセブン
クマ被害で亡くなった笹崎勝巳さん(左・撮影/山口比佐夫、右・AFP=時事)
《笹崎勝巳レフェリー追悼》プロレス仲間たちと家族で送った葬儀「奥さんやお子さんも気丈に対応されていました」、クマ襲撃の現場となった温泉施設は営業再開
NEWSポストセブン
役者でタレントの山口良一さん
《笑福亭笑瓶さんらいなくなりリポーターが2人に激減》30年以上続く長寿番組『噂の!東京マガジン』存続危機を乗り越えた“楽屋会議”「全員でBSに行きましょう」
NEWSポストセブン
11月16日にチャリティーイベントを開催した前田健太投手(Instagramより)
《いろんな裏切りもありました…》前田健太投手の妻・早穂夫人が明かした「交渉に同席」、氷室京介、B’z松本孝弘の妻との華麗なる交友関係
NEWSポストセブン
イギリス出身のインフルエンサー、ボニー・ブルー(Instagramより)
《1日で1000人以上と関係を持った》金髪美女インフルエンサーが予告した過激ファンサービス… “唾液の入った大量の小瓶”を配るプランも【オーストラリアで抗議活動】
NEWSポストセブン