芸能

草薙、ナダル、濱家…バラエティがグダグダ芸人で溢れる理由

グダグダキャラで注目のナダル

 テレビのバラエティ番組では数多くの芸人が活躍しているが、今注目は「グダグダキャラ」だという。いったいなぜか? コラムニストでテレビ解説者の木村隆志さんが解説する。

 * * *
 2日夜に放送された『27時間テレビ』(フジテレビ系)内のコーナー『さんまのお笑い向上委員会』で、お笑いコンビ・かまいたちの濱家隆一さんが繰り返しフィーチャーされ、ネット上で話題を集めました。

 同コーナーの出演者たちがスポーツ関連のコスプレをする中、濱家さんは「世界で初めてクラウチングスタートをした人」というマニアックなチョイス。しかし、濱家さんは生放送という緊張のためか痛風で左足が動かず、「肝心のクラウチングスタートができない」というグダグダの空気になってしまったのです。

 その後も濱家さんがグダグダになってしまうたびに相方の山内健司さんが、「余談なんですけど、濱家、同窓会に呼ばれなかったらしいんです」「余談なんですけど、濱家、初対面の音声さんに呼び捨てにされてました」「余談なんですけど、濱家、電話でタクシー呼んだんですけど、来なかったんです」などの冴えないエピソードで笑いを誘うシーンがありました。

 かまいたちと言えば、2017年に『キングオブコント』で優勝したほか、『M-1グランプリ』でも4位に輝くなど、お笑い賞レースの上位常連。さらにロケの技術も高く、『ロケ芸人最強決定戦 外王』(フジテレビ系)で昨年、今年と連覇した実力派です。彼らの実績やスキルを踏まえれば、あえて濱家さんのグダグダキャラを前面に押し出していることが分かるのではないでしょうか。

 しかし、グダグダキャラで活躍している芸人は、濱家さんだけではありません。宮下草薙の草薙航基さん、コロコロチキチキペッパーズのナダルさん、ダイアンの津田篤宏さんなど、20代の若手から40代の中堅まで、さまざまなキャリアの芸人があえてグダグダキャラを選び、バラエティへの出演機会を増やしているのです。

 なぜ芸人たちは「笑われる」「芸人として恥ずかしい」と紙一重のグダグダキャラを自ら選んでいるのでしょうか?

◆棲み分けが進むグダグダキャラ

 もともと多くのお笑いコンビには、「ネタを作る人はクレバー系の笑いを、ネタを作らない人は天然系の笑いを取ろう」という傾向が見られ、これがグダグダキャラのベースとなっています。

 実際、前述した4人でネタを書いているのは草薙さんだけ。その草薙さんも自らのグダグダな体験談をもとにしたネタが大半で、クレバー系の笑いを取ることはほとんどなく、「グダグダのキャラクターで笑いを取りたい」という意図が見えます。

 興味深いのは、草薙さんが「出てきたときからずっとグダグダ」、ナダルさんが「ムチャブリでグダグダにされる」、濱家さんが「相方がグダグダのエピソードを連発」、津田さんが「自らのギャグでグダグダになる」と、それぞれグダグダのタイプが異なること。ひとくくりにされがちですが、彼らはグダグダキャラを棲み分けしているのです。

 こういう状況になった理由として業界内で噂されているのは、主に以下の3点。

「『世界の果てまでイッテQ!』(日本テレビ系)で出川哲朗さん、中岡創一さん、温泉同好会の女芸人たちがグダグダのやり取りで人気を得たから」「“マセキ(芸能社)3兄弟”と言われる出川哲朗さん、狩野英孝さん、三四郎・小宮浩信さんがグダグダキャラで多くの出演機会を得たから」「出川さんが国民的人気となったほか、アンガールズ・田中卓志さんが多彩なトークで笑いを取るようになるなど、グダグダキャラのステイタスが上がったから」などと言われています。

 しかし、これらの理由以上に大きいのは、各局のバラエティ制作スタッフがグダグダキャラを重宝しているから。むしろ、グダグダキャラを織り込んだ上で企画を立て、構成を練っているのです。

◆友人や同僚を見ているような親近感

関連キーワード

関連記事

トピックス

交際が報じられた赤西仁と広瀬アリス
《赤西仁と広瀬アリスの海外デートを目撃》黒木メイサと5年間暮らした「ハワイ」で過ごす2人の“本気度”
NEWSポストセブン
世界選手権東京大会を観戦される佳子さまと悠仁さま(2025年9月16日、写真/時事通信フォト)
《世界陸上観戦でもご着用》佳子さま、お気に入りの水玉ワンピースの着回し術 青ジャケットとの合わせも定番
NEWSポストセブン
秋場所
「こんなことは初めてです…」秋場所の西花道に「溜席の着物美人」が登場! 薄手の着物になった理由は厳しい暑さと本人が明かす「汗が止まりませんでした」
NEWSポストセブン
身長145cmと小柄ながら圧倒的な存在感を放つ岸みゆ
【身長145cmのグラビアスター】#ババババンビ・岸みゆ「白黒プレゼントページでデビュー」から「ファースト写真集重版」までの成功物語
NEWSポストセブン
『徹子の部屋』に月そ出演した藤井風(右・Xより)
《急接近》黒柳徹子が歌手・藤井風を招待した“行きつけ高級イタリアン”「40年交際したフランス人ピアニストとの共通点」
NEWSポストセブン
和紙で作られたイヤリングをお召しに(2025年9月14日、撮影/JMPA)
《スカートは9万9000円》佳子さま、セットアップをバラした見事な“着回しコーデ” 2日連続で2000円台の地元産イヤリングもお召しに 
NEWSポストセブン
高校時代の青木被告(集合写真)
《長野立てこもり4人殺害事件初公判》「部屋に盗聴器が仕掛けられ、いつでも悪口が聞こえてくる……」被告が語っていた事件前の“妄想”と父親の“悔恨”
NEWSポストセブン
世界的アスリートを狙った強盗事件が相次いでいる(時事通信フォト)
《イチロー氏も自宅侵入被害、弓子夫人が危機一髪》妻の真美子さんを強盗から守りたい…「自宅で撮った写真」に見える大谷翔平の“徹底的な”SNS危機管理と自宅警備体制
NEWSポストセブン
鳥取県を訪問された佳子さま(2025年9月13日、撮影/JMPA)
佳子さま、鳥取県ご訪問でピンクコーデをご披露 2000円の「七宝焼イヤリング」からうかがえる“お気持ち”
NEWSポストセブン
長崎県へ訪問された天皇ご一家(2025年9月12日、撮影/JMPA)
《長崎ご訪問》雅子さまと愛子さまの“母娘リンクコーデ” パイピングジャケットやペールブルーのセットアップに共通点もおふたりが見せた着こなしの“違い”
NEWSポストセブン
ウクライナ出身の女性イリーナ・ザルツカさん(23)がナイフで切りつけられて亡くなった(Instagramより)
《監視カメラが捉えた残忍な犯行》「刺された後、手で顔を覆い倒れた」戦火から逃れたウクライナ女性(23)米・無差別刺殺事件、トランプ大統領は「死刑以外の選択肢はない」
NEWSポストセブン
国民に笑いを届け続けた稀代のコント師・志村けんさん(共同通信)
《恋人との密会や空き巣被害も》「売物件」となった志村けんさんの3億円豪邸…高級時計や指輪、トロフィーは無造作に置かれていたのに「金庫にあった大切なモノ」
NEWSポストセブン