米国ジョンズホプキンス大学病院の研究によると、下の血圧が低すぎると、心臓組織を損傷し、心臓発作などの冠動脈性心臓病などの重大な心臓病発症リスクを高めることがわかった。特に、心臓の筋肉の状態を調べた検査結果から分析したところ、下の血圧が70~79までの人には、異常は見られなかったのに対し、60~69の人の約半数に心筋の損傷が見られ、心臓病を発症するリスクがあったのだ。
こうした研究から、正常血圧120/80を目指して生活習慣の改善に取り組みつつも、下の血圧は70を下回らないように注意する必要があることがわかった。
高血圧と診断した場合、ぼくはすぐには薬を使わない。上の血圧が140~150の場合は、まず生活習慣を中心に指導する。ただし、150を超えるような場合は、降圧薬を処方することを考える。まず高すぎる血圧を薬で下げながら、じっくりと生活改善をしていくのだ。
昔は「血圧の薬を飲み始めたら、一生飲み続ける」などといわれた。今は薬をずっと続けるのではなく、根本的な原因である生活習慣を改善して、薬に頼らなくてもいいようにもっていく。ぼくの患者さんでは、血管が収縮して血圧が高くなる冬だけ降圧薬を飲んでいるという人もいる。
誤解してほしくないのは、患者さんが自己判断で薬を止めていいということではない。自己判断で薬を止めるのは、絶対にダメ。
薬を止めるときには、医師が薬を飲まないときの血圧を確認しながら、慎重に薬を止めていく。この方法で、高血圧だった人が生活習慣の改善で血圧が下がり、薬を止めるまでになった例もある。
◆血圧は裏切らない