「ペースト状にした大豆を入れる“呉汁”と呼ばれる伝統料理がありますが、パウダー状の高野豆腐やおからをみそ汁などに溶き入れると、呉汁風のとろりとした仕上がりに。
高野豆腐は高たんぱくで消化もよく、おからは食物繊維も豊富。パウダー状のものが市販されているので便利です。
そしてミルクティーやココアにも合うマシュマロもおすすめ。マシュマロは卵白を泡立てたメレンゲをゼラチンで固めたお菓子ですから、温かい飲み物に浮かべると、ゆっくり溶けてトロトロに。ほんのりした甘みも癒されます」
高齢者のかぜ対策としては水分とともに栄養分の補給も考えたい。ウイルスに負けない免疫力のためにも、体温を上げることがポイントだ。
「にんにく、しょうが、ねぎなどの香味野菜は殺菌や体を温める作用もあり、加熱調理するとパワーアップします。
そしてぜひ摂りたいのはたんぱく質。体の熱源となる三大栄養素、糖質、脂質、たんぱく質の中で、いちばん熱を発生して体温を上げる作用が強いのがたんぱく質です。豆腐や卵、割いた蒸し鶏などを常備しておくと、とろみスープの浮き身にも手軽。かぜ気味で食欲がない時などでも、できるだけたんぱく質を摂るように心掛けて」
また、長年ハーブの店も経営していた本多さんが、自身のかぜ対策にもよく飲んでいるというのがレシピにも紹介しているカモミールティーだ。
「カモミールは血行をよくし、かぜの治りを早くするというヨーロッパの薬草で、ピーターラビットのかぜ薬としても有名。同じくシナモンも体を温める薬効があります」
本多さん自身、昨年まで94才の実母と100才で亡くなった実父、そして4才の孫の食事も作っていたという。
「機能低下や病気で食べづらいと、栄養状態に直結することを目の当たりにしました。高齢になったら病気に気をつけながら、自然な老いも受け入れて、上手に折り合いをつけて前向きに生きるのが理想。とろみも、介護食などと構えずに、普段からどんどん取り入れていってください」