たとえば、過去に100万円の当せんをしたことがあるとしよう。それ以降、当せんがなくても、ギャンブラーの誤謬により、次回こそ当せんするだろうという気持ちが高まっていく。ハウスマネー効果により、100万円までの宝くじの購入はさして気にならない。そして、ついに購入額が100万円を超えて、生活のために蓄えてきたお金に手をつけて……。
こうしたことは、冒頭で述べたように、人の性格・個性と言えるだろうか。有史以来、さまざまな時代に、さまざまな国で、似たようなことが繰り返されてきたことを踏まえれば、多かれ少なかれ、人が誰でも持っている心情と見るべきだろう。
「金に目がくらむ」という言い回しがある通り、お金を前にすると、人は誰でも心が乱れがちになる。性格・個性と言う以前に、本来、人は金銭的な誘惑に弱い存在だ。
宝くじなどに多額のお金を投じるときは、ハウスマネー効果やギャンブラーの誤謬を思い出して、理性を取り戻すことが必要だろう。宝くじをほどよく楽しむには、お金の持つ魔力に振り回されないよう、一歩引いて冷静に決断することが大事だと思われるが、いかがだろうか。