芸能

新『ターミネーター』ヒット あのSF名作が描いた「2020年」

大ヒット中の『ターミネーター:ニューフェイト』。主要キャストが復帰し『T2』の正統な続編を謳う  (C) 2019 Skydance Productions, LLC, Paramount Pictures Corporation and Twentieth Century Fox Film Corporation. All rights reserved.

 2019年11月、アメリカ西海岸の大都市ロサンゼルス。地球人への侵攻を目論むレプリカント(人造人間)を阻止すべく、ブレードランナーと呼ばれる捜査官は、宙を舞う車が飛び交う摩天楼をひた走る──いまから37年前、1982年に公開された映画『ブレードランナー』は、そんな近未来の地球の姿を描いて、当時の地球人を熱狂させた。

 その2年後に公開された映画『ターミネーター』は、同じく近未来の地球の姿を描いて大ヒット。両作の続編を望む声は根強く、2017年には『ブレードランナー2049』が公開されて、現在公開中の『ターミネーター:ニューフェイト』も熱狂的な支持を得ている。

 現在の日本でも、“時代設定に現代が追いついた”映画が注目されている。その筆頭が、11月5日に幕を閉じた「第32回東京国際映画祭」で上映された『AKIRA』だ。

 巨匠・大友克洋の大ヒット漫画を1988年に映画化した同作には、当時のアニメとして破格の10億円が投じられ、正確で緻密な描写が国内外のクリエイターに大きな影響を与えた。同作は、第三次世界大戦の勃発後に新首都となった「ネオ東京」を舞台に、麗しいデザインのバイクにまたがって廃墟を疾走する不良少年と反政府ゲリラ、アーミー(軍)、超能力者らの生き詰まる攻防をハイテンポに描く。舞台となるのはズバリ2019年で、作中では「翌年に東京オリンピックが開かれる」ことまで明かされる。

 東京国際映画祭で『AKIRA』が上映された後のトークショーでは、主役の金田の声を演じた岩田光央が、「(2020年の)オリンピックが東京に決まった時『大友さん、予言者か!』とネットざわついていましたよね(笑い)」と、2019年の“偶然”を振り返った。

 同映画祭では、1966年に放送された特撮テレビ番組『ウルトラQ』内のエピソードのひとつである『2020年の挑戦』も上映された。

 物語の“主役”となる異星人のケムール人は、人工の臓器や血液など医学の発展で長寿を手に入れたが、年齢とともに訪れる肉体の衰えには抗えず、地球人の健康な肉体を手に入れようと望んで、「2020年」のケムール星から1960年代の地球に到来する。

 都内でパトカーに追われながら「フォッ、フォッ、フォッ」と不気味な雄叫びをあげ、帳の落ちた東京を大股で駆け抜けるケムール人の姿がなんとも魅力的で、人気漫画家の浦沢直樹が「ウルトラQのベストエピソード」と絶賛した物語である。

 初回放送の1966年当時は、長寿を手に入れながら若い肉体を欲するケムール人のグロテスクな容貌は近未来の人類の姿を想起させたが、いまやその2020年が目前に迫る。

関連キーワード

関連記事

トピックス

全国でクマによる被害が相次いでいる(AFLO/時事通信フォト)
「“穴持たず”を見つけたら、ためらわずに撃て」猟師の間で言われている「冬眠しない熊」との対峙方法《戦前の日本で発生した恐怖のヒグマ事件》
NEWSポストセブン
韓国のガールズグループ「AFTERSCHOOL」の元メンバーで女優のNANA(Instagramより)
《ほっそりボディに浮き出た「腹筋」に再注目》韓国アイドル・NANA、自宅に侵入した強盗犯の男を“返り討ち”に…男が病院に搬送  
NEWSポストセブン
ラオスに到着された天皇皇后両陛下の長女・愛子さま(2025年11月17日、撮影/横田紋子)
《初の外国公式訪問》愛子さま、母・雅子さまの“定番”デザインでラオスに到着 ペールブルーのセットアップに白の縁取りでメリハリのある上品な装い
NEWSポストセブン
ドジャース入団時、真美子さんのために“結んだ特別な契約”
《スイートルームで愛娘と…》なぜ真美子さんは夫人会メンバーと一緒に観戦しないの? 大谷翔平がドジャース入団時に結んでいた“特別な契約”
NEWSポストセブン
山上徹也被告の公判に妹が出廷
「お兄ちゃんが守ってやる」山上徹也被告が“信頼する妹”に送っていたメールの内容…兄妹間で共有していた“家庭への怒り”【妹は今日出廷】
NEWSポストセブン
靖国神社の春と秋の例大祭、8月15日の終戦の日にはほぼ欠かさず参拝してきた高市早苗・首相(時事通信フォト)
高市早苗・首相「靖国神社電撃参拝プラン」が浮上、“Xデー”は安倍元首相が12年前の在任中に参拝した12月26日か 外交的にも政治日程上も制約が少なくなるタイミング
週刊ポスト
相撲協会の公式カレンダー
《大相撲「番付崩壊時代のカレンダー」はつらいよ》2025年は1月に引退の照ノ富士が4月まで連続登場の“困った事態”に 来年は大の里・豊昇龍の2横綱体制で安泰か 表紙や売り場の置き位置にも変化が
NEWSポストセブン
三重県を訪問された天皇皇后両陛下(2025年11月8日、撮影/JMPA)
《季節感あふれるアレンジ術》雅子さまの“秋の装い”、トレンドと歴史が組み合わさったブラウンコーデがすごい理由「スカーフ1枚で見違えるスタイル」【専門家が解説】
NEWSポストセブン
俳優の仲代達矢さん
【追悼】仲代達矢さんが明かしていた“最大のライバル”の存在 「人の10倍努力」して演劇に人生を捧げた名優の肉声
週刊ポスト
10月16日午前、40代の女性歌手が何者かに襲われた。”黒づくめ”の格好をした犯人は現在も逃走を続けている
《ポスターに謎の“バツ印”》「『キャー』と悲鳴が…」「現場にドバッと血のあと」ライブハウス開店待ちの女性シンガーを “黒づくめの男”が襲撃 状況証拠が示唆する犯行の計画性
NEWSポストセブン
全国でクマによる被害が相次いでいる(右の写真はサンプルです)
「熊に喰い尽くされ、骨がむき出しに」「大声をあげても襲ってくる」ベテラン猟師をも襲うクマの“驚くべき高知能”《昭和・平成“人食い熊”事件から学ぶクマ対策》
NEWSポストセブン
オールスターゲーム前のレッドカーペットに大谷翔平とともに登場。夫・翔平の横で際立つ特注ドレス(2025年7月15日)。写真=AP/アフロ
大谷真美子さん、米国生活2年目で洗練されたファッションセンス 眉毛サロン通いも? 高級ブランドの特注ドレスからファストファッションのジャケットまで着こなし【スタイリストが分析】
週刊ポスト