──今年はラグビーワールドカップで“ビール特需”がありました。来年には東京五輪も控えている。世界に向けて“日本のビール”をアピールするチャンスでは?
山田:もちろん、海外から来られるお客様に我々の商品を知っていただく良い機会だと前向きに考えています。
サントリーグループ全体を見ても、「山崎」や「響」などのジャパニーズウイスキーが海外から高く評価されています。2014年のビームサントリー誕生(※注)をきっかけに、世界のウイスキー市場での知名度はさらに上がっている。
(※注/サントリーはジムビームなどを製造するビーム社を約160億ドルで買収、ビームサントリー社が誕生した。)
そのサントリーがつくっているビールという点からも、注目いただけるのではないかと思っています。
サントリーグループはウイスキー、ワイン、チューハイをはじめとするRTD(缶酎ハイや瓶入りカクテルなど、フタを開けてすぐに飲めるアルコール飲料)など様々なお酒を販売していますが、やはりサントリーにおいてビールは「魂」です。
ビール市場が縮小する中で相対的にサントリーのシェアを上げようとするのではなく、サントリーがダウントレンドの市場を変えるくらいのことをやりたいですね。
【PROFILE】やまだ・けんじ/1961年、山梨県生まれ。慶應義塾大学商学部卒業後、1984年サントリー入社。2004年ビール事業部営業部長、2015年サントリーホールディングス執行役員、サントリー酒類常務。2017年4月より現職。
●聞き手/河野圭祐(ジャーナリスト):1963年、静岡県生まれ。経済誌編集長を経て、2018年4月よりフリーとして活動。流通、食品、ホテル、不動産など幅広く取材。
※週刊ポスト2019年12月6日号