三姉妹はそれぞれの視点でリキに恋して、クラッシュをくらう。リキはどの視点から見ても、捨て犬の息を吐く「人たらし」であったのだ。三姉妹のみならず、リキに反発していたはずの母も、家政婦もリキにしてやられる。
怖るべし三姉妹。それを手玉にとるリキ。胸に氷砂糖の刃物として刺さった傷が、いつまでも溶けない。それが「ファースト クラッシュ」なのだ。なにしろ「みなしご」のジツブツが現われて、重心を低く構えて三姉妹をトリコにしていくんだから、つくづく、「みなしご」になりたくなった。そして、ビックリ仰天のラストシーンに泣かせられて、涙ボタボタ。
※週刊ポスト2019年12月13日号