鈴木:有名な女優さんのヌード写真集が出るようになったのは1970年代に入ってからですね。鰐淵晴子が1970年、加賀まりこが1971年ですから。
石川:平凡社から出た鰐淵晴子の『イッピー・ガール・イッピー』は思い出があります。カメラマンのタッド若松が鰐淵晴子と付き合っているという(2人は後に結婚、離婚)。彼女は僕らの世代のアイドルでしたから、ヌードを撮るしかないだろうなとなった。銀座の三越で展覧会をやって、バカでかいヌードをビルの壁一面に飾りましたが、アート性の高い写真として評価されました。立木義浩さんが撮った加賀まりこの『私生活』も素晴らしかったなあ。
元木:1970年代のヌード写真集の中で衝撃だったのが麻田奈美の『青春の記録』(1977年)。当時はヘアを出せないから、リンゴを股間の前に持っている。その方法にも驚いたし、体のボリュームが凄い。以前から平凡パンチに掲載されていて知っていたので、写真集が出たとき慌てて買いに行きました。
石川:セーラー服が似合いそうな童顔と、堂々たるトルソー(胴体)。そのギャップにみんな唖然としたんですよ。彼女が平凡パンチのグラビアに出ると、売れ行きのスピードが上がった。
【プロフィール】
◆いしかわ・じろう/1941年生まれ。1966年平凡出版(現マガジンハウス)入社。POPEYE、BRUTUS、Tarzan、GULLIVER、平凡パンチ各誌編集長を歴任。1993年に退職し編集プロダクション「JI inc.」を設立。1994~2002年、テレビ朝日系『トゥナイト2』の司会を務めた。
◆すずき・のりお/1940年生まれ。1962年光文社入社。女性自身を経て、週刊宝石、FLASH創刊に携わり、1988年からFLASH編集長、1996年から週刊宝石編集長。女性自身の発行人も務めた。2004年に光文社常務を退任。
◆もとき・まさひこ/1945年生まれ。1970年講談社入社。1990年からFRIDAY編集長、1992年から週刊現代編集長、1999年からWeb現代編集長。2006年退職し、その後オーマイニュース日本版編集長&社長を務めた。
●取材・構成/鈴木洋史 撮影/榎本壯三
※週刊ポスト2019年12月20・27日号