スポーツ

元DeNA久保康友のメキシコ野球生活「人生で一番楽しい」

メキシコでの生活は最初、戸惑うことが多かったという

メキシコでの生活は最初、戸惑うことが多かったという

 日本球界で97勝を挙げた「松坂世代」のひとり、元DeNAの久保康友(39)は地球の裏側メキシコでプレーを続けている。今季はメキシコリーグのレオン・ブラボーズに所属したが、メジャーリーグや韓国リーグに比べると、なじみの薄いリーグでもある。そのメキシコでの野球生活は、最初は戸惑うことばかりだったという。久保が語るメキシコの“常識”とは──。

 メキシコリーグは全16チームによるペナントレースが行なわれ、その後6チームによるプレーオフで優勝チームが決まる。前期・後期による2期制など細かな違いこそあるものの、NPBやメジャーリーグと大差はない。だが、日本のファンにとってなじみが薄いのは、ひとえに、メキシコリーグに挑戦した日本人選手の少なさによるものだろう。佐野慈紀(元近鉄)、藪恵壺(元阪神)、マック鈴木(元オリックス)、吉岡雄二(元近鉄)といった名選手がプレーしたものの、これまでNPB出身選手の挑戦者は11人に留まる。

 メキシコリーグの特徴は圧倒的な「打高投低」で、打率は3割以上が当たり前。当然、投手の成績は低調になり、チーム防御率は5~6点台が多い。久保は今季、26試合登板で8勝14敗、防御率5.98。NPBでの通算防御率が3.70だった久保もメキシコでは苦労した様子が窺えるが、それでも154の三振を奪い、最多奪三振のタイトルを獲得した。日本時代は「打たせて取るタイプ」といわれていただけに意外な印象がある。久保は“変身”の理由をこう話す。

「メキシコの選手は守備への意識が低くて、野手はなかなか打球を追ってくれない。加えて、グラウンドには石が転がっていて、野手の頭を越すほど打球がイレギュラーするからどんどん点が入ってしまう。あと、多くの球場は標高500メートル以上で、なかには2000メートル以上の高さに位置する球場もある。そうなると、気圧が低くなり打球が飛ぶ。普通の外野フライがホームランになるから、アウトにするには三振を取るしかなかった。総合的に言えば米国や日本より落ちるうえに、野球の“色”がまったく違う」

 シーズン開幕当初は140キロに満たない直球で抑えていたが、夏場になると145キロを超える直球を低めに決めても痛打を浴びることが増えた。アッパースイングの打者が多く、外角低めの球も踏み込んで引っ張って本塁打にしてしまう。

「身体能力、対応力は凄い。メキシコリーグの選手は長距離砲より3番、5番タイプの中距離砲が多い。日本でいえばマッチ(ソフトバンクの松田宣浩)がたくさんいるイメージ。それでも、厳しいコースを軽々とホームランにしてくるのは、技術があるから。右打者の内角のきわどいコースでファウルを打たせても、次に同じコースに投げたら、体をコマのように軸回転させて、打球にスライスをかけてホームランにしてくる。NPBでは松中(信彦、元ソフトバンク)さんや真中(満、元ヤクルト)さんが得意にしていた打ち方で、なかなか真似できない」

 野球以上に苦労したのが、メキシコでの生活だ。「メキシコ人は本当にマイペース」と苦笑いを浮かべる。久保が所属したチームでは首脳陣が試合開始の時間を当日まで把握しておらず、洗濯に出したユニフォームが返らずジャージで練習することも珍しくなかった。

関連キーワード

関連記事

トピックス

水原一平氏はカモにされていたとも(写真/共同通信社)
《胴元にとってカモだった水原一平氏》違法賭博問題、大谷翔平への懸念は「偽証」の罪に問われるケース“最高で5年の連邦刑務所行き”
女性セブン
解散を発表した尼神インター(時事通信フォト)
《尼神インター解散の背景》「時間の問題だった」20キロ減ダイエットで“美容”に心酔の誠子、お笑いに熱心な渚との“埋まらなかった溝”
NEWSポストセブン
富田靖子
富田靖子、ダンサー夫との離婚を発表 3年も隠していた背景にあったのは「母親役のイメージ」影響への不安か
女性セブン
尊富士
新入幕優勝・尊富士の伊勢ヶ濱部屋に元横綱・白鵬が転籍 照ノ富士との因縁ほか複雑すぎる人間関係トラブルの懸念
週刊ポスト
大ヒットしたスラムダンク劇場版。10-FEET(左からKOUICHI、TAKUMA、NAOKI)の「第ゼロ感」も知らない人はいないほど大ヒット
《緊迫の紅白歌合戦》スラダン主題歌『10-FEET』の「中指を立てるパフォーマンス」にNHKが“絶対にするなよ”と念押しの理由
NEWSポストセブン
《愛子さま、単身で初の伊勢訪問》三重と奈良で訪れた2日間の足跡をたどる
《愛子さま、単身で初の伊勢訪問》三重と奈良で訪れた2日間の足跡をたどる
女性セブン
水原一平氏と大谷翔平(時事通信フォト)
「学歴詐称」疑惑、「怪しげな副業」情報も浮上…違法賭博の水原一平氏“ウソと流浪の経歴” 現在は「妻と一緒に姿を消した」
女性セブン
『志村けんのだいじょうぶだぁ』に出演していた松本典子(左・オフィシャルHPより)、志村けん(右・時事通信フォト)
《松本典子が芸能界復帰》志村けんさんへの感謝と後悔を語る “変顔コント”でファン離れも「あのとき断っていたらアイドルも続いていなかった」
NEWSポストセブン
水原氏の騒動発覚直前のタイミングの大谷と結婚相手・真美子さんの姿をキャッチ
【発覚直前の姿】結婚相手・真美子さんは大谷翔平のもとに駆け寄って…水原一平氏解雇騒動前、大谷夫妻の神対応
NEWSポストセブン
大谷翔平に責任論も噴出(写真/USA TODAY Sports/Aflo)
《会見後も止まらぬ米国内の“大谷責任論”》開幕当日に“急襲”したFBIの狙い、次々と記録を塗り替えるアジア人へのやっかみも
女性セブン
創作キャラのアユミを演じたのは、吉柳咲良(右。画像は公式インスタグラムより)
『ブギウギ』最後まで考察合戦 キーマンの“アユミ”のモデルは「美空ひばり」か「江利チエミ」か、複数の人物像がミックスされた理由
女性セブン
違法賭博に関与したと報じられた水原一平氏
《大谷翔平が声明》水原一平氏「ギリギリの生活」で模索していた“ドッグフードビジネス” 現在は紹介文を変更
NEWSポストセブン