【大賞】
◆菅義偉官房長官「『反社』の定義は定まっていない」

「反社」の定義が激変(時事通信フォト)

「桜を見る会」問題の対応は泥縄に陥り、首相以外にも政治家の数々の失言、虚言、居直り、言い逃れを生み出した。

 役人はそうした発言に辻褄を合わせるために、反社会勢力やマルチ商法経営者を誰が招待したかの記録が残る招待者名簿をシュレッダーにかけなければならなかった。だが、野党議員の提出要求で「紙の名簿」が廃棄された後も、政府のサーバーには最大8週間、バックアップデータが残っていた。国会での検証は十分可能だった。そこで対応にあたる菅官房長官は2つの重大な言い逃れをした。

「バックアップデータは行政文書には当たらない」(12月4日)

 国会議員からの資料要求には行政文書を前提に対応しており、行政文書ではないバックアップデータは国会提出の対象ではないと開き直ったのである。

 もう一つは桜を見る会への「反社会勢力」招待問題で、菅氏は会見で「結果的に入っていた」といったんは出席していたことを認める言い方をした。ところが、その後、政府は「反社の定義は困難」とわざわざ閣議決定まで行ない、こう居直った。

「反社会的勢力の定義が一義的に定まっているわけではない」(11月27日)

 日本は世界でも数少ない政府がマフィア(暴力団員)を「指定暴力団」と認定する国家で、認定されていなければ犯罪を犯しても「暴力団組員を名乗る男」と報じられる。そうした厳密な定義が治安の根幹を支えてきた。

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