『スカーレット』で注目を集める松下洸平(公式HPより)

 3人は12月にブレイクしただけに、年明け早々の話題もさらうでしょう。ミルクボーイは「どれだけ多くのバラエティに出演するか?」がクローズアップされるでしょうし、松下さんが演じる八郎には「まさかの展開が待ち受けている」と噂されているなど、さらなる反響必至。無名の新星というイメージは、少なくとも1か月は保てるのではないでしょうか。

 3人のような無名の新星を生み出すことは、テレビ業界にとって重要ではあるものの、作り手たちにとっては目の前の結果も重要。次々に抜てきするわけにはいかず、既存の人気者を起用するケースが大半を占めています。

 だからこそ数多くの若手イケメン俳優がいる中で素朴な印象の松下さんを選んだスタッフの判断には称賛が寄せられて当然ですし、ブレイクしたことであらためてオーディションの大切さが証明されました。『M-1グランプリ』も、もともと「埋もれている芸人に脚光を当てよう」「番組からスターを生み出すぞ」という気概がベースになっているように、やはりスタッフの判断が鍵を握っているのです。

 同時に芸能事務所サイドも、ビジュアルの優れた人や、ネット上で注目された人をスカウトするだけでなく、「能力はあるけど埋もれている人材を発掘」し、「才能のある人を長い目で育成していく」ことが求められています。

 年始には、若手芸人の登竜門となっている『ぐるナイおもしろ荘』(日本テレビ系、1月1日0時30分~)、『新春大売り出し!さんまのまんま』(カンテレ、フジテレビ系、1月2日15時45分~)の「今田耕司のおすすめ芸人コーナー」がありますし、俳優も1月スタートの冬ドラマが控えているため、さらなる無名の新星が登場するかもしれません。

 本人や関係者はもちろん、作り手と視聴者も喜ばせる無名の新星が登場するのか? 来年早々にも、その可能性は十分ありえるのです。

【木村隆志】
コラムニスト、芸能・テレビ・ドラマ解説者。雑誌やウェブに月20本超のコラムを提供するほか、『週刊フジテレビ批評』などの批評番組に出演。タレント専門インタビュアーや人間関係コンサルタントとしても活動している。著書に『トップ・インタビュアーの「聴き技」84』『話しかけなくていい!会話術』『独身40男の歩き方』など。

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