「ほとんどの引用論文におけるテロメア長の測定には、血液の白血球内のテロメアが用いられています。マインドフルネスなどの精神的な経験が白血球に影響を与えたというのは、精神と白血球を結びつける、われわれがまだ知らない仕組みがあるのか、単なる偶然の一致だったのか不明です。もちろん観察結果も重要な事実の1つですから、今後も研究を重ねることが必要だと考えられます」

 一方で、テロメアに対して悪影響を及ぼす要因は明らかになっているという。不必要に日光を浴び、紫外線にさらされ続けると皮膚細胞のテロメアの短小化は加速する。同じく、喫煙も避けたい。

「たばこの煙に含まれる化学物質によって喉や気管、肺表面などの細胞が壊れると、健康なほかの細胞のテロメアの短小化が促進されます。それによって肺疾患をもたらす。たばこを吸わないことは呼吸器の老化を防ぐ有効な方法なのです」(石川さん)

 それ以外にも、テロメアの短小化は脳卒中、心筋梗塞、認知症、肝硬変などさまざまな病気の罹患リスクを高めることが確認されている。

 では、テロメラーゼを直接体内に取り込むことはできないのだろうか。その実験を試した米国のバイオ企業役員の女性がいる。テロメラーゼを生成する遺伝子組み換えウイルスを自らの体に注射したのだ。女性は、細胞が20才の若返りに成功したと主張しているが、あまりにもリスクが大きいと石川さんは語る。

「遺伝子治療は予期せぬがんを引き起こすとされています。それだけでなく、テロメラーゼが過剰にあると、がんの発生を促進することがわかっている。仮に、そういったリスクを抜きにテロメラーゼ遺伝子が遺伝子導入されたとしても、体を構成する細胞すべてに行き届かせ、テロメアを伸ばすという目的には到底達しないでしょう」

 研究の進展を待ちながら、まずはテロメアの短小化を防ぐとされる健康的でストレスのない生活を心がけたい。

※女性セブン2020年1月2・9日号

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