芸能

「男はつらいよ」シリーズ 著名人3人が選ぶ最高のマドンナ

「男はつらいよ」ファンはどのマドンナが好き?

 誕生50周年、2019年末に第50作目が後悔される「男はつらいよ」シリーズ。主人公の車寅次郎が故郷の葛飾柴又にもどってきては起こす大騒動の人情喜劇が人気だが、毎回、寅さんが恋する「マドンナ」も負けず劣らず人気の源だ。『「男はつらいよ」を旅する』の著者である評論家の川本三郎氏と、「『男はつらいよ』の幸福論 寅さんが僕らに教えてくれたこと』著者の精神科医・名越康文氏、『いま、幸せかい? 「寅さん」からの言葉』著者の小説家・滝口悠生氏に、シリーズで最も愛するマドンナについて聞いた。

◆川本三郎氏(評論家)

評論家の川本三郎氏 (C)川井聡

・光本幸子(御前様の娘・冬子役)第1作『男はつらいよ』(1969年、監督/山田洋次)

【あらすじ】20年ぶりに柴又に帰った寅次郎は妹・さくらの見合いを酔ってぶち壊し、おいちゃんと大喧嘩。再び旅に出た先の奈良で御前様と娘・冬子に再会し、その美しさに一目惚れ。柴又に戻り、さくらと夫となる博の仲を取り持つが、肝心の冬子には大学の先生の婚約者がいた。

 私の好きなのは第1作で御前様の娘・冬子を演じた光本幸子。寅さんが惚れる女性はお嬢様、水商売系、市井の働く女性に大別できますが、お嬢様の原型が彼女です。新派のトップ女優だった彼女の初出演映画がこの作品で、彼女を初めて知った新鮮さもあり、着物の似合う美人で、品が良いのが印象的でした。

 寅さんが冬子を連れてオートレース場や大衆的な焼き鳥屋に行きます。そこで見せる嫌みのない世間知らずがまた魅力的です。寅さんが彼女を寺に送ると、木戸の中から白い腕が伸びてきます。寅さんがドギマギしながら軽く手を握ると、彼女が上下に振る。立ち去る彼女を見つめ、寅さんが思わずお辞儀をする。ここはまさに「王女様と騎士」の関係です。後日、彼女を迎えに寺に行くと、彼女は約束を忘れていて、しかもそこに婚約者がいる。その無邪気な残酷さも彼女なら許せますね(笑い)。

【かわもと・さぶろう】評論家。1944年生まれ。著書に『「男はつらいよ」を旅する』(新潮選書)。

関連記事

トピックス

田村瑠奈被告(中央)
《父・修被告よりわずかに軽い判決》母・浩子被告が浮かべていた“アルカイックスマイル”…札幌地裁は「執行猶予が妥当」【ススキノ事件公判】
NEWSポストセブン
田中圭
《田中圭が永野芽郁を招き入れた“別宅”》奥さんや子どもに迷惑かけられない…深酒後は元タレント妻に配慮して自宅回避の“家庭事情”
NEWSポストセブン
ラッパーとして活動する時期も(YouTubeより。現在は削除済み)
《川崎ストーカー死体遺棄事件》警察の対応に高まる批判 Googleマップに「臨港クズ警察署」、署の前で抗議の声があがり、機動隊が待機する事態に
NEWSポストセブン
ニセコアンヌプリは世界的なスキー場のある山としても知られている(時事通信フォト)
《じわじわ広がる中国バブル崩壊》建設費用踏み倒し、訪日観光客大量キャンセルに「泣くしかない」人たち「日本の話なんかどうでもいいと言われて唖然とした」
NEWSポストセブン
北海道札幌市にある建設会社「花井組」SNSでは社長が従業員に暴力を振るう動画が拡散されている(HPより、現在は削除済み)
《暴力動画拡散の花井組》 上半身裸で入れ墨を見せつけ、アウトロー漫画のLINEスタンプ…元従業員が明かした「ヤクザに強烈な憧れがある」 加害社長の素顔
NEWSポストセブン
筑波大学の入学式に出席された悠仁さま(撮影/JMPA)
悠仁さま入学から1か月、筑波大学で起こった変化 「棟に入るには学生証の提示」、出入りする関係業者にも「名札の装着、華美な服装は避けるよう指示」との証言
週刊ポスト
藤井聡太名人(時事通信フォト)
藤井聡太七冠が名人戦第2局で「AI評価値99%」から詰み筋ではない“守りの一手”を指した理由とは
NEWSポストセブン
趣里と父親である水谷豊
《趣里が結婚発表へ》父の水谷豊は“一切干渉しない”スタンス、愛情溢れる娘と設立した「新会社」の存在
NEWSポストセブン
米利休氏のTikTok「保証年収15万円」
東大卒でも〈年収15万円〉…廃業寸前ギリギリ米農家のリアルとは《寄せられた「月収ではなくて?」「もっとマシなウソをつけ」の声に反論》
NEWSポストセブン
SNS上で「ドバイ案件」が大騒動になっている(時事通信フォト)
《ドバイ“ヤギ案件”騒動の背景》美女や関係者が証言する「砂漠のテントで女性10人と性的パーティー」「5万米ドルで歯を抜かれたり、殴られたり」
NEWSポストセブン
“赤西軍団”と呼ばれる同年代グループ(2024年10月撮影)
《赤西仁と広瀬アリスの交際》2人を結びつけた“軍団”の結束「飲み友の山田孝之、松本潤が共通の知人」出会って3か月でペアリングの意気投合ぶり
NEWSポストセブン
田村容疑者のSNSのカバー画像
《目玉が入ったビンへの言葉がカギに》田村瑠奈の母・浩子被告、眼球見せられ「すごいね。」に有罪判決、裁判長が諭した“母親としての在り方”【ススキノ事件公判】
NEWSポストセブン