◆日産は仏ルノーと離縁し、ホンダと再婚できるのか
そもそも日産によるゴーン元会長追い落としのクーデターの震源地は仏政府である。仏政府の圧力の防波堤になっていたゴーン元会長は、ルノーの会長を続投する見返りに、日産をルノーに統合することで、仏政府と手を握った。日産を仏企業に組み込んだ暁には、日産にフランス国内に大型工場を建設させ、雇用を拡大するのが仏・マクロン大統領の狙いだった。
そんなゴーン元会長の“転向”に危機感を抱いた日産の経営陣の一部が、検察と呼応してゴーンの逮捕、日産からの追放に動いた。だが、一連のゴーン事件で日産とルノーの関係は悪化。それ以降、両社の亀裂は広がり続けている。
ゴーン元会長のクビを取った日産の悲願は、仏ルノーのくびきから抜け出し、独立を果たすことだが、ところがどっこい、内田新社長はルノーとの融和を優先させる考えだ。ホンダとの再婚には、ルノーと“協議離婚”が必須であるが、今のところ日産の現経営陣、トロイカ体制とやらに、やる気があるとは思えない。
2019年12月、クリスマスイブの夜(20時台)には、〈日産の新経営体制に打撃。関副COOが日本電産の社長に〉という衝撃のニュースも飛び込んできた。関副COOは12月24日までに内田・新社長に退任の意思を伝えたという。
経営再建策の「パフォーマンスリカバリー」の陣頭指揮を執る(はずの)関氏の退社は、日産のトロイカ体制の求心力のなさを早くも露わにした。それよりも、経営トップから日産の生え抜きが抜け落ち、ルノー寄りの外部出身者だけとなったことにより、経営の迷走はさらに深まる公算が出てきた。日産の2トップはルノー、いや、ジャンドミニク・スナール会長の“傀儡”とみられかねない。
一方、ホンダは2020年夏にも、一定の条件下ならハンドルを握らず、目を前方から逸らしてもシステムに自動運転を任せられる「レベル3」の技術を搭載した車を発売する。高級セダン「レジェンド」の一部モデルに搭載する。「レベル3」の自動運転車を市販するのは、日本の自動車メーカーでホンダが初めてとなる。
技術のホンダの輝きを、少しは取り戻してきたが、業績は振るわない。2020年3月期の国内の新車販売で、ホンダがスズキに抜かれて3位に陥落する可能性も出てきた。通期計画(小売りベース)はホンダが67万台なのに対してスズキは68.9万台。部品トラブルによる生産停止や新車の発売延期がモロに響いている。ホンダにとって屈辱の3位転落だ。