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王室離脱をも決意させたヘンリー王子の「唯一性」を分析する

王室離脱はスムーズにいくのか?(getty)

 臨床心理士・経営心理コンサルタントの岡村美奈さんが、気になったニュースや著名人をピックアップ。心理士の視点から、今起きている出来事の背景や人々の心理状態を分析する。今回は、イギリス王室を揺るがせている例の王室離脱問題に注目。

 * * *
「メグジット」とはよく言ったものだ。1月8日、英国のヘンリー王子とメーガン妃は突然、高位王族の地位から退くとインスタグラムで発表し、いくつかの英国メディアはこの事態を「メグジット」という見出しで報じた。英国は今、欧州連合(EU)からの離脱であるブレグジットに揺れており、“王室からメーガン妃が離脱”と揶揄されたのだ。

 この発表に衝撃を受けたのは英国民だけではなかった。エリザベス女王やチャールズ皇太子、ウィリアム王子さえ寝耳に水だったのだ。女王は「サセックス侯爵夫妻の決断は、まだ初期の段階で、検討に時間を要する複雑な問題」と声明を出し、王室は緊急の家族会議を招集。その結果、女王は彼ら二人の希望を容認し、移行期間を設けることになったと声明で発表した。女王はすでに二人のことをロイヤルファミリーとしては諦めていたのかもしれない。

 毎年恒例の女王私邸でのクリスマスに、ヘンリー王子とメーガン妃は参加せず、女王の恒例のクリスマスメッセージの際にはデスクの上に置かれていた二人の写真がなくなっており、それが“あなたたちはもういらない”という女王の無言のメッセージではないかとも話題になっていた。

 独身時代は自由奔放なエピソードでメディアを騒がせたヘンリー王子だが、王族としての役割や義務、伝統は尊重し行動していた。だが結婚してからは次第に王室との間に溝が生まれ、英国民やメディアとの関係もぎくしゃくし始める。ついには王室離脱の電撃発表とともに、「サセックスロイヤル」なるインスタグラムのアカウントを開設し商標を登録、経済的自立の道を築き、新しい役割を造り上げていくと発表した。

 傍目にはヘンリー王子がメーガン妃に影響され引きずられ、振り回されているようにさえ見えてくる。なぜ王子はここまでメーガン妃を優先するのか。

 恋に落ちれば誰しも、相手のことを“この人しかいない”と思うだろう。ヘンリー王子もメーガン妃のことを自分にとって唯一無二の存在だと思ったに違いない。このような感覚を「唯一性」という。唯一性によって相手への愛情は強まり、なんでもしてあげたい、幸せにしてあげたい、守りたいという思いも強くなる。

 ヘンリー王子はその思いから、これまでの王室とは異なるメーガン妃のやり方を受け入れたのだろう。だがそれによって二人は、世間の好奇の目にさらされ、誹謗中傷を受けることになる。ここにヘンリー王子が経験した過去の悲劇、ダイアナ元妃の事故死が重なっていく。

 ヘンリー王子は、唯一無二の愛する人を二度と失いたくなかったのではないだろうか。彼は昨年、「守るべき家族がいる」「過去の繰り返しを望まないだけだ」と某メディアのインタビューで述べている。メーガン妃を批判する者、彼女の感情を害する者は、王子にとってマイナスの存在となる。唯一性からくる愛情のあまり不安が強まることもあれば、相手の気持ちや感情を他の何よりも優先するようになってしまうこともある。

 意地悪い見方をすれば、ヘンリー王子の唯一性によってメーガン妃は、彼の中で自分が優先順位のトップになることができた。こうなれば相手を取り込みコントロールすることも難しくない。王室の伝統やしきたりが窮屈で、英国民やメディアの目や批判が煩わしかったメーガン妃は、自分が生きやすいように、王子をそれまでの環境から切り離したのかもしれない。

 ヘンリー王子が幸せなら…というのが、容認したエリザベス女王の思いだろうが、本家ブレグジットのほうはもめにもめているだけに、こちらの“離脱”は果たしてスムーズにいくのだろうか?

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