銀行はそういう作業をやっていないから、クレジットカードを作る際はいちいち審査が必要になるし、全銀システムなどのコストに加え利用代金の支払いが滞った時の回収コストや不良債権になった時のコストを乗せて加盟店から高い手数料を取っているのだ。言い換えれば、ちゃんと支払っている人は、滞納者からの回収経費を負担させられているわけで、すべての人がネットでつながった現代においてはフェアなシステムとは言いがたい。
たとえば、中国のアリババ傘下アント・フィナンシャルのQRコード決済サービス「アリペイ(支付宝)」は、独自に収集したパーソナルデータや金融貸出情報などを基に個人の信用度を350~950点の範囲で格付けし、ユーザーは信用度が高いほどより良いサービスを受けることができる。また、全銀システムなどのようなコストもかからないから、決済手数料はたったの0.3%だ。さらに、ユーザーに利息4~5%のMMFを提供するなど、決済だけでなく貯金や資産運用、融資などの総合的な金融サービスを展開している。
かたや日本の金融サービスは、未だに銀行をはじめとする既得権者が歪んだ形で支配しているから、決済手数料が高く、高利回りの金融商品も提供できない。
いま日本企業、日本経済は新たなブレークスルーができずに停滞している。この状況を打破するためには、まずクレジットカードを廃止してデビットのみとし、金融サービスの既得権者(決済マフィア)を解体し、ブロックチェーンなどの新しい技術で金融システムを根本的に作り変えていかねばならない。
最も手っ取り早い方法は、ネットのセキュリティを高めて全銀システムやCAFISを介さないデビット方式を導入・普及させることである。そうすればキャッシュレス決済の手数料は0.5%以下になり、莫大な税金を使ったポイント還元事業など必要なくなる。