芸能

『テセウスの船』、好発進の裏に朝ドラ・大河主演シフト

竹内涼真主演で話題の『テセウスの船』(公式HPより)

 1月クールの連続ドラマがスタートしたが、好発進した作品の1つが竹内涼真主演の『テセウスの船』(TBS系)だ。多くの話題作があるなかで、このドラマが視聴者の注目を集めたワケとは? コラムニストでテレビ解説者の木村隆志さんが解説する。

 * * *
 放送前は「大人層の視聴者が多い日曜劇場に26歳の竹内涼真で大丈夫か?」「平成元年にタイムスリップするというファンタジーは視聴者を選ばないか?」と不安視されていた『テセウスの船』。

 しかし、19日の初回は視聴率11.1%(ビデオリサーチ調べ、関東地区)を記録し、SNSでのコメントも、その大半が称賛を占めるなど、上々のスタートを切りました。

 主人公の田村心(竹内涼真)がタイムスリップしたことにほとんど戸惑わない、母親・和子(榮倉奈々)の老けメイクが濃すぎる、平成元年のベタなフレーズを詰め込みすぎなど、揶揄されがちなツッコミどころが多かったにもかかわらず、なぜ初回からこれほど好発進できたのでしょうか。

◆主人公の家族に朝ドラ・大河の主役がズラリ

 連ドラ初回の視聴率を左右するのは、「放送前のPR」と「キャストのネームバリュー」の2つ。

 その点、『テセウスの船』のPRは強烈でした。ネット上には昨年10月末の段階からロケの様子や出演者のコメント動画などが次々にアップされ、12月中旬には早くも『王様のブランチ』で特集。年明けからも、『東京フレンドパーク元日SP』『プレバト』『櫻井有吉・THE夜会』『さんま・玉緒のあんたの夢を叶えたろかSP』『ワールド極限ミステリー』『モニタリング』『あさチャン』『グッとラック』『ひるおび』『ゴゴスマ』『Nスタ』『ぴったんこカンカン』などでPRが行われました。

初回放送当日も、昼の生放送番組『アッコにおまかせ!』に竹内さんが出演したあと、午後には『日曜劇場「テセウスの船」ナビ』を放送。他枠の作品と比較しても、ネットとテレビの両方で、より力の入ったPRが見られ、リアルタイム視聴につなげました。

 ただ、それ以上に効果的だったのが、キャスティング。主演の竹内涼真さんはゴールデンタイムの連ドラ初主演ながら、日曜劇場の人気作『下町ロケット』『陸王』『ブラックペアン』(TBS系)に出演したほか、朝ドラ『ひよっこ』(NHK)や『過保護のカホコ』(日本テレビ系)でヒロインの相手役を務めて知名度を上げました。

 しかし、それ以上にインパクトがあるのは、主演の竹内さんを盛り立てる助演たち。父・文吾役に大河ドラマ『西郷どん』主演の鈴木亮平さん、妻・由紀役に大河ドラマ『江~姫たちの戦国~』主演の上野樹里さん、母・和子役に朝ドラ『瞳』主演の榮倉奈々さん、姉・鈴役に朝ドラ『ちりとてちん』主演の貫地谷しほりさんがキャスティングされました。

「日本で最も視聴者数が多い」と言われる朝ドラと、「日本で最も名誉がある」と言われる大河ドラマの主演を4人もそろえ、主人公の家族役を固めることで、放送前から大作ムードを漂わせていたのです。原作者の東元俊哉さんも「凄く豪華。とても有難いです」というコメントを寄せるほど、ネームバリューの面では申し分ない顔ぶれと言えるでしょう。

 もともと日曜劇場は、『まれ』終了直後の土屋太鳳さんを『下町ロケット』に、『べっぴんさん』終了直後の芳根京子さんを『小さな巨人』に、『わろてんか』終了直後の葵わかなさんを『ブラックペアン』に、と朝ドラヒロインの助演起用を定番化させて、好結果につなげたという成功体験がありました。

 やはり物語を見てもらう前の初回はPRが重要であり、さらにネームバリューのあるキャスティングが求められているのです。

◆刑事・医療ドラマが乱立するなかで際立つ長編ミステリー

関連記事

トピックス

遠野なぎこ(Instagramより)
《愛するネコは無事発見》遠野なぎこが明かしていた「冷房嫌い」 夏でもヒートテックで「眠っている間に脱水症状」も 【遺体の身元確認中】
NEWSポストセブン
ブラジルを公式訪問されている秋篠宮家の次女・佳子さま(2025年6月4日、撮影/JMPA)
「佳子さまは大学院で学位取得」とブラジル大手通信社が“学歴デマ報道”  宮内庁は「全報道への対応は困難。訂正は求めていません」と回答
NEWSポストセブン
米田
「元祖二刀流」の米田哲也氏が大谷翔平の打撃を「乗っているよな」と評す 缶チューハイ万引き逮捕後初告白で「巨人に移籍していれば投手本塁打数は歴代1位だった」と語る
NEWSポストセブン
花田優一が語った福田典子アナへの“熱い愛”
《福田典子アナへの“熱い愛”を直撃》花田優一が語った新恋人との生活と再婚の可能性「お互いのリズムで足並みを揃えながら、寄り添って進んでいこうと思います」
週刊ポスト
麻辣湯を中心とした中国発の飲食チェーン『楊國福』で撮影された動画が物議を醸している(HP/Instagramより)
〈まさかスープに入れてないよね、、、〉人気の麻辣湯店『楊國福』で「厨房の床で牛骨叩き割り」動画が拡散、店舗オーナーが語った実情「当日、料理長がいなくて」
NEWSポストセブン
生成AIを用いた佳子さまの動画が拡散されている(時事通信フォト)
「佳子さまの水着姿」「佳子さまダンス」…拡散する生成AI“ディープフェイク”に宮内庁は「必要に応じて警察庁を始めとする関係省庁等と対応を行う」
NEWSポストセブン
まだ重要な問題が残されている(中居正広氏/時事通信フォト)
中居正広氏と被害女性Aさんの“事案後のメール”に「フジ幹部B氏」が繰り返し登場する動かぬ証拠 「業務の延長線上」だったのか、残された最後の問題
週刊ポスト
50歳で「アンパンマン」を描き始めたやなせたかし氏(時事通信フォト)
《巨大なアンパンマン経済圏》累計市場規模は約6.6兆円…! スパイダーマンやバットマンより稼ぎ出す背景に「ミュージアム」の存在
NEWSポストセブン
保護者を裏切った森山勇二容疑者
盗撮逮捕教師“リーダー格”森山勇二容疑者在籍の小学校は名古屋市内で有数の「性教育推進校」だった 外部の団体に委託して『思春期セミナー』を開催
週刊ポスト
遠野なぎこ(本人のインスタグラムより)
《ブログが主な収入源…》女優・遠野なぎこ、レギュラー番組“全滅”で悩んでいた「金銭苦」、1週間前に公表した「診断結果」「薬の処方」
NEWSポストセブン
ホストクラブや風俗店、飲食店のネオン看板がひしめく新宿歌舞伎町(イメージ、時事通信フォト)
《「歌舞伎町弁護士」のもとにやって来た相談者は「女風」のセラピスト》3か月でホストを諦めた男性に声を掛けた「紫色の靴を履いた男」
NEWSポストセブン
「週刊ポスト」本日発売! 万引き逮捕の350勝投手が独占懺悔告白ほか
「週刊ポスト」本日発売! 万引き逮捕の350勝投手が独占懺悔告白ほか
NEWSポストセブン