◆マスク以外にも品薄が
2月17日現在、クルーズ船の乗客を含む日本国内での感染者が500人を超えた。中国に渡航歴のある人との接触などがなく、感染経路が不明なケースも複数生じている。都内の介護施設で働く40代男性は「自分もいつ感染するかわからない」と危機感を募らせる。
「そもそも介護の場面でマスクが必要な理由は、自分の予防のためではありません。高齢の利用者が職員らから感染するリスクを避けるために必要なものなのです」
新型コロナウイルスによる肺炎が重症化するリスクは、「高齢者」、「糖尿病・心不全・呼吸器疾患の持病がある人や透析を受けている人」、「免疫抑制剤や抗がん剤などの投与を受けている人」が高いとされる(厚労省公表の「相談・受診の目安」より)。
医療や介護の現場で働く人はもちろん、不特定多数と接する機会の多い電車やバス、タクシーなどの交通機関で働く人にも「感染を広げないための」マスク着用は喫緊の課題だ。前出の渡辺氏はこう言う。
「ワクチンや治療薬がない中で、感染を恐れる気持ちはよくわかります。しかし、ここまで感染が拡大した以上、重症化リスクのある人を守るために、優先順位をつけてマスクを供給するべきです。
市中の小売店でマスクが普通に買えるようになる時期は、正直に言って全くわかりません。国産マスクにしても、原料の不織布は中国からの輸入が多いと言われている。中国の工場が稼働するかどうか、それが日本向けに輸出されるかどうか次第です。
マスク以外も同様です。消毒用アルコールは品薄がすでに指摘されていますが、その容器に使われるポンプも中国製なので、影響はさらに広がります。マスクと同じく不織布を使う除菌シートも品薄になることが予想されます」