国内

新型コロナウイルス 「研究所から流出」説の真偽を追う

武漢ウイルス研究所。中国初のBLS4実験室を擁する。その安全管理の厳格さは想像を超えるレベルだというが…(写真は同施設の公式HPより)

 連日新型コロナウイルスの話題が後を絶たない。全世界での感染者は7万人を超え、死者は約2000人となった(2月19日現在)。当初、ウイルスは自然発生と報道されていたが、ここにきて、武漢にある研究所からの流出疑惑が持ち上がっている──。

 中国・武漢市に世界トップレベルのウイルス研究所「中国科学院武漢病毒(ウイルス)研究所」がある。

 この研究所が備える最新鋭の設備の1つが、BSL4(バイオセーフティーレベル4)実験室だ。実験室では、SARSやエボラ出血熱のような、感染力が強くて危険なウイルスのコントロールも可能で、洪水の被害が及ばない場所に設置され、マグニチュード7の揺れにも耐えうるという。

 しかしいま、この研究所から新型コロナウイルスが流出したのではないかという疑惑が持ち上がっている。

 1月末、インド・デリー大学とインド理工学院に所属する研究者たちがまとめた「新型コロナウイルスにエイズウイルスと不自然な類似点がある」とする論文が物議をかもした。さらにこの研究者たちは「このウイルスが自然発生することは考えられない」とした。この論文は大バッシングののちに撤回されたが、一部のネットユーザーの間で内容が拡散。「新型コロナウイルスはSARSウイルスとエイズウイルスを武漢ウイルス研究所が人工的に合成したものでは」という憶測も飛び交い、不安が高まったのだ。

 さらに1月28日、ハーバード大学公衆衛生学教授のエリック・ファイグルーディン博士は自身のツイッターで「武漢市の海鮮市場はウイルスの発生源ではない」と発信。たちまち世界中のメディアで取り上げられた。

 中国メディア『大紀元』は、2月6日、オンラインゲーム開発会社の会長が自身のSNSで「武漢の研究所が新型コロナウイルスの発生源」と発言したと報じている。この人物は、かつて中国の生物学者が動物実験で使った牛や豚を食肉業者などに転売していた事件があったことから、新型コロナウイルスに感染した動物が市場で売られたのではないかと疑っているという。

 現在、中国版Googleともいわれる検索サイト「百度」で「武漢病毒研究所」と検索すると、検索候補に「泄露(漏洩)」という文字が。疑惑は広まる一方のようだ。

◆何度も北京の実験室からSARSが流出

 中国では過去にも“ヒューマンエラー”が起きたことがある。2004年、北京にあるBSL3の要件を満たす実験室から、SARSウイルスが流出する事件が発生し、責任者が処罰されている。中国メディアの報道などによると、研究員がBSL3実験室からSARSウイルスを持ち出し、一般の実験室で研究をしたことで感染が広まった。

関連記事

トピックス

割れた窓ガラス
「『ドン!』といきなり大きく速い揺れ」「3.11より怖かった」青森震度6強でドンキは休業・ツリー散乱・バリバリに割れたガラス…取材班が見た「現地のリアル」【青森県東方沖地震】
NEWSポストセブン
前橋市議会で退職が認められ、報道陣の取材に応じる小川晶市長(時事通信フォト)
《前橋・ラブホ通い詰め問題》「これは小川晶前市長の遺言」市幹部男性X氏が停職6か月で依願退職へ、市長選へ向け自民に危機感「いまも想像以上に小川さん支持が強い」
NEWSポストセブン
3年前に離婚していた穴井夕子とプロゴルァーの横田真一選手(Instagram/時事通信フォト)
《ゴルフ・横田真一プロと2年前に離婚》穴井夕子が明かしていた「夫婦ゲンカ中の夫への不満」と“家庭内別居”
NEWSポストセブン
二刀流かDHか、先発かリリーフか?
【大谷翔平のWBCでの“起用法”どれが正解か?】安全策なら「日本ラウンド出場せず、決勝ラウンドのみDHで出場」、WBCが「オープン戦での調整登板の代わり」になる可能性も
週刊ポスト
高市首相の発言で中国がエスカレート(時事通信フォト)
【中国軍機がレーダー照射も】高市発言で中国がエスカレート アメリカのスタンスは? 「曖昧戦略は終焉」「日米台で連携強化」の指摘も
NEWSポストセブン
テレビ復帰は困難との見方も強い国分太一(時事通信フォト)
元TOKIO・国分太一、地上波復帰は困難でもキャンプ趣味を活かしてYouTubeで復帰するシナリオも 「参戦すればキャンプYouTuberの人気の構図が一変する可能性」
週刊ポスト
世代交代へ(元横綱・大乃国)
《熾烈な相撲協会理事選》元横綱・大乃国の芝田山親方が勇退で八角理事長“一強体制”へ 2年先を見据えた次期理事長をめぐる争いも激化へ
週刊ポスト
2011年に放送が開始された『ヒルナンデス!!』(HPより/時事通信フォト)
《日テレ広報が回答》ナンチャン続投『ヒルナンデス!』打ち切り報道を完全否定「終了の予定ない」、終了説を一蹴した日テレの“ウラ事情”
NEWSポストセブン
青森県東方沖地震を受けての中国の反応は…(時事通信フォト)
《完全な失敗に終わるに違いない》最大震度6強・青森県東方沖地震、発生後の「在日中国大使館」公式Xでのポスト内容が波紋拡げる、注目される台湾総統の“対照的な対応”
NEWSポストセブン
安福久美子容疑者(69)の高場悟さんに対する”執着”が事件につながった(左:共同通信)
《名古屋主婦殺害》「あの時は振ってごめんねって会話ができるかなと…」安福久美子容疑者が美奈子さんを“土曜の昼”に襲撃したワケ…夫・悟さんが語っていた「離婚と養育費の話」
NEWSポストセブン
《悠仁さまとの差》宮内庁ホームページ“愛子内親王殿下のご活動”の項目開設に「なぜこんなに遅れたのか」の疑問 皇室記者は「当主の意向が反映されるとされます」
《悠仁さまとの差》宮内庁ホームページ“愛子内親王殿下のご活動”の項目開設に「なぜこんなに遅れたのか」の疑問 皇室記者は「当主の意向が反映されるとされます」
週刊ポスト
優勝パレードでは終始寄り添っていた真美子夫人と大谷翔平選手(キルステン・ワトソンさんのInstagramより)
《大谷翔平がWBC出場表明》真美子さん、佐々木朗希の妻にアドバイスか「東京ラウンドのタイミングで顔出ししてみたら?」 日本での“奥様会デビュー”計画
女性セブン