映像は番組サイドで制作しており、楽曲制作者から「この人で」というリクエストがあっても断っている。
「特に、意識しているのはうたに寄りすぎないこと。説明的になりすぎず、行間からにじみ出るようなものを表現するようにしています。だから、あえて人間ではなく、動物のキャラを擬人化することもある。意識していることは、どんな映像をつけたら、いちばん、うたのよさがみなさんに届くのかということです」
◆希望を持って踏み出せるうたを
メッセージ性の強いうたも避けるようにしている。その理由は、“元気を出そうよ”や“頑張れ”などといったストレートなメッセージは、この番組にはなじまないと考えるからだ。
「うたによっては、抽象的だから、逆にわかりやすい映像にしようということもありますし、あえてイメージを広げるために抽象的な映像をつけることもあるんです。
ただ、時代の空気や気分として、時には、応援するような曲もありだと感じています。というのも、東日本大震災も含め、各地で災害が起こり、世の中に閉塞感が漂っているのでは…と感じたときに『wish~キボウ~』(2019年)といううたを放送したらものすごい反響で…」
このときもうたを作った藤田麻衣子(36才)とずいぶん話し合ったという。
「最初にできてきた歌詞には『大変だけど、みんな希望を持って行こう、自分から前に進んで行こう』というような強いメッセージが描かれていたんです。でも、人はそんなに強くないと思ったんですね。そこで、自分から何かを変えて行こうというのではなく、希望を持って、一歩でも踏み出せたら…といった表現で、作り直してもらいました」