山中さんの奥さんは働いていない、子なし専業主婦だ。山中さんはそれでもいいと結婚した。年下の奥さん、ましてや美人を貰う弱みもあったのかもしれない。
「もう働けと言いました。扶養内で構わないし生活費は入れなくていいから、その稼ぎのなかでゲームでも何でもやってくれと」
生活のためパートに出る主婦も多い中、稼いだお金が全部お小遣いなら好条件だろう。しかし山中さんの奥さんは拒否した。
「約束が違うと言われました。あいつは寄生虫になるつもりで私と結婚したんです。家にニートを飼ってるようなものです」
ひどい言いようだが、請求書は収入のある世帯主で夫の山中さんが支払うのだから気持ちはわかる。だが、底辺校出身でも容姿がよくてオタク話ができればよいと言っていたのは山中さん自身だ。家計の営み方について夫婦の考えをすりあわせないまま来たのだろう。またソシャゲに限らず山中さんの奥さんは依存症の危険もある。この点、私もそうだがどうしてもオタクは “ハマる”のが当然なので自分自身で”依存”と客観的な病理にまで考えが及びづらい、深刻化してしまう面がある。
「どのクレジットカードも限度額いっぱいです。公務員は安定してるしその点は羨ましがられますが、決して収入そのものは多くありません。副業だって兼業農家とか実家がお寺とか、著名な創作活動してるとかの特殊例でない限り認められません」
山中さんはオタクなので趣味を活かして”せどり”と呼ばれる人気商品の転売や入手困難なチケットの転売をしているという。ごく小さな取引きなので法的に問題はないが、転売数や額が大きくなると法的に問題となるケースもある。
「非難されることはわかってますが、これくらいしか収入を増やす術はありません。幸い官舎に住んでますし夫婦二人なので生活費はたいしてかかりませんが、ボーナスも何もかもアイツのゲーム代に消えるかと思うとうんざりします」
奥さんがソシャゲで二次元のイケメンに貢ぐ間、物欲魔だったはずの山中さんはお金のかからないテレビアニメを見て、ネットの匿名掲示板で専業主婦を叩き、「自家発電」をして寝るという。