未だに店ではマスク争奪戦が起こっているという(AFP=時事)

 この父親自身、兄弟の濃厚接触者である。

「あちらの親御さんやほかの保護者と交代で、兄弟をスキー場に連れて行っていました。自分の子供たちも一緒です。新型コロナウイルスのことを教えていませんが、兄弟が学校を休んでいるので、うちの子はうすうす気づいているかもしれません。不安を煽ったり敏感になりすぎるのも当人たちがかわいそうなので、親としてはどっしり構えていたいですね」(前出・同級生の父親)

 苦渋の対応を迫られているのは行政だ。

「行政側は、いくつかの感染経路を想定しています。ウイルス感染者がスキーを楽しんだ際、飲食店や更衣室などで兄弟に接触した可能性もある。しかしスキー場は観光地でもあり、関係各所に与える影響が大きい。噂話が独り歩きしないよう、調査が進められています」(前出・地元紙記者)

 富良野保健所担当者は「スキー場が感染源だと特定されていません」と回答した。

◆職業を偽る人が出てくる可能性も

 日本国内で850人の感染者と4人の死者が出た(ダイヤモンド・プリンセス号の感染者を含む。2月24日22時現在)。

 ここに来て問題の中心は、「いかに感染を防ぐか」から、「感染者が出たらどう対応するか」に移りつつある。

 一石を投じたのは、北海道・旭川の飲食チェーン店「とんかつ井泉」だ。2月22日、同店を経営する70代男性は自身が新型コロナウイルスに感染したことを明かし、店名を公表した。「お客様に正しい情報を伝え、心配させないようにしたい」との意向があったとされる。男性がよく出入りしていたという1店舗を3日間閉店し、消毒にあてた。

 名古屋高速道路は2月23日朝までに6か所の料金所を閉鎖。料金所の業務をしている60代の男性事務員が新型コロナウイルスに感染し、濃厚接触の疑いがあるスタッフ52人が自宅待機になったためだ。

 いずれも緊急時における迅速な対応であり、世間からは評価する声が聞こえる。

 一方、こうした対応は思わぬ副作用を生んだ。現在、ウイルス感染が疑われる人が医療機関で検査を受けて感染が発覚すると、各都道府県や保健所、厚労省が感染者を把握する。

 このルートで感染が確認されるのを避けるため、冒頭で紹介した原宿のアパレルショップや銀座のクラブの従業員のように、新型肺炎の症状が出ても検査を受けない、または感染を申告しない「隠れ感染者」が現れたのだ。

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