「何℃以上熱があろうが医療機関からすれば、鑑別ができないため、軽症者とかぜ気味の患者の扱いは同じなんです。かぜ気味の患者の中に新型コロナウイルス感染者がいて、自分が知らないうちに感染したらどうしようと不安に思う医療従事者もいるんです」
しかも、安倍晋三首相が唐突に全国一斉休校を打ち出したため、子供のいる看護師が出勤できず、医療現場が人手不足になる恐れも指摘される。
「政府は、患者も医療従事者も感染の疑いのある人を安心して受け入れられる体制を作るべきなんです。このままでは、医療が崩壊し、検査難民が殺されてしまいます」(医療ジャーナリスト)
待たれるのは特効薬とワクチンの出現だ。兵庫県立丹波医療センター・地域医療教育センター長の見坂恒明さんが指摘する。
「重症の感染者に対してはHIV感染症治療薬の『カレトラ』が使用され、一定の効果はありますが、今後、使用する量や有効性のさらなる検討が必要です。基礎研究で新型コロナウイルスの増殖を抑える効果があったインフルエンザ治療薬『アビガン』は臨床研究が行われており、有効かどうかの結果が待たれます。ワクチンの臨床試験も近いうちに始まる見通しですが、実用化には1年以上かかるのではないでしょうか」
ここに利権が絡むと明かすのは前出の久住さんだ。
「ワクチンを製造する財団法人は厚労省の天下り先です。アメリカでは第1段階の臨床試験分のワクチンがすでに出荷されていますが、厚労省が利権を捨ててまで外国産ワクチンの承認や支援ができるか微妙です」(前出・久住さん)
間違いだらけの国の対応で、いま、日本は危機を迎えている。
※女性セブン2020年3月19日号