消毒用のアルコールは品薄となり、いまや貴重品だが、手元にあっても、使い方によっては無駄になる可能性も。ちくさ病院の内科医の近藤千種さんはこう言う。
「新型コロナウイルスにアルコール消毒が有効なのは、ウイルスがエンベロープと呼ばれる脂質性の膜に包まれている性質ゆえ。アルコールによってその膜を壊し、不活性化できるのです。
まず手洗いし、その後吹きかけますが、きちんと乾かさないうちにアルコール消毒しても、効果が落ちるという研究結果が。水分を拭き取ってからアルコールを使うようにしてほしい」
掃除中の換気は避けた方がいいとわかったが、掃除が終わった後は、積極的に空気を入れ換えてほしい。耳鼻科医の木村聡子さんはこう解説する。
「屋内にいる人が新型コロナウイルスに感染している可能性があるならば、換気は頻繁にすること。空気感染はしないといわれていますが、密室では短時間ですがウイルスが空気中を漂うため換気した方が安全です。
吹きさらしのところでは、感染率が下がります。加えて加湿も重要です。飛沫感染の際に、湿度がある方が飛沫の距離が短くなります。さらに、人間の鼻やのどの粘膜が外敵をキャッチして追い出す機能も湿度が低いと落ちるので、加湿は有効です」
外出時の小さな行動も、少し変えるだけで家に持ち込むウイルスの量は大きく変わる。東邦大学医療センター大橋病院の婦人科医の高橋怜奈さんはこう語る。
「ウイルスを家に持ち帰らないために、指先に注意してほしい。エレベーターのボタンを押すときなど、手指で触る場所にはウイルスがいるかもしれないのです。実際、私はエレベーターのボタンならパスケースの先で押すといった工夫をしています」
ナビタスクリニック新宿院長の濱木珠恵さんもこう話す。
「目や鼻、口の粘膜からウイルスが体内に入るのですが、無意識に手で顔を触ることで感染が起きやすい。癖を直すのは難しいので、ボタンやつり革には『利き手でない方の手』を使うようにしてみてください」
未解明の部分が多いだけに、新型コロナウイルスに関する情報は玉石混交。なかには「お湯を飲むと防げる」などのデマ情報も出回った。藁をもつかむ気持ちなのはわかるが、出所が確かな情報を頼りにしたい。
※女性セブン2020年3月19日号