「腎臓には細かい毛細血管が集まって尿をろ過する『糸球体』という部位があり、糖尿病になると糸球体の血管がもろくなって十分に尿をろ過できなくなります。従来のコロナウイルスは、腎臓に感染して腎機能を悪化させる事例が見られましたが、新型コロナウイルスでも、もともと機能の落ちた腎臓に感染することで、糖尿病患者が重篤化する可能性があります」
持病の有無が重症化するかのカギを握っていることを示唆するデータもある。
WHO(世界保健機関)と中国を含む25か国の専門家が2月25日付でまとめた報告によれば、中国での新型コロナウイルス感染者のうち、併存疾患がない人で死亡したのは1.4%にとどまった一方で、心・血管系疾患のある感染者では13.2%が、糖尿病を抱える感染者では9.2%が死亡していた。さらにそれに続いて、高血圧を患っている感染者では8.4%が死に至っていたのだ。
米ブルームバーグは、中国・武漢で働く中国人専門医へのインタビューを行ない、1月に武漢で死亡した感染者170人のうち半数近くが高血圧を患っていたというデータを踏まえ、「あらゆる基礎疾患の中で高血圧は重要な危険因子」「まだ公表された研究はないが、高血圧は患者の症状悪化の重要な要因で、予後の悪さにつながる」と発言したことを報じている(3月10日付)。
詳細なメカニズムについては今後の解明が待たれるが、これまでに明らかになっている情報を踏まえ、高血圧患者はより一層、体調管理やその変化に敏感になる必要がありそうだ。
※週刊ポスト2020年3月27日号