「年齢や既往歴(これまでにかかってきた病気)などによって重症化リスクが高くなるとされていますが、私が知るケースでは60代で既往歴がない人にも、高齢で糖尿病を患っている人にも、重症化することなく2週間で退院された患者さんも少なからずいます。
やはり、基本的には重症化リスクのある人が適切なタイミングで適切な治療を受けられることが大切になるのです」
だからこそ、現段階で明らかになっている重症化リスクについて、ひとつひとつ見ていく必要がある。
◆重症化した70代と退院した70代
新型コロナウイルスの重症化リスクと指摘されているのは、【1】高齢者、【2】糖尿病、心不全、呼吸器疾患(慢性閉塞性肺疾患など)の基礎疾患がある人や透析を受けている人、【3】免疫抑制薬や抗がん剤などを用いている人、である。
ただ、一口に「高齢者」といっても、前述の通り重症化する70代もいれば、症状が軽くて退院していく70代もいる。名古屋市衛生研究所・微生物部長の柴田伸一郎氏が指摘する。
「高齢者のなかでも基礎体力が落ち、余命わずかな状況の人が新型コロナウイルスに感染して重症化し、最悪の場合に亡くなっている印象です。過去にノロウイルスが流行した際も、重症や死亡にいたったのは、弱ったお年寄りが多かった」
重症化にいたるメカニズムについては、専門家でも詳細はまだよくわかっていない状況だが、糖尿病患者が重症化しやすい理由について、柴田氏は「腎機能の低下」の可能性を指摘する。