しかし、番組から巣立った勝俣州和は今もバラエティ番組に欠かせないタレントとして活躍している。猛稽古を積んだにもかかわらず、数回の出演に留まった草なぎ剛は1990年代にSMAPのメンバーとしてお笑いにも対応することで、時代を切り開いていった。目の前の結果として表出しなくても、長い稽古は決して無駄にはならないのだ。
猛練習の末に出場権を勝ち取ったセンバツ球児たちの落胆を慮った上での萩本のエール。 厳しい鍛錬を積み、誰よりも“運”について考えてきた男だからこその重みを感じた。
文/岡野誠:ライター。著書『田原俊彦論 芸能界アイドル戦記1979-2018』(青弓社)は鈴木智彦著『サカナとヤクザ』、山田ルイ53世著『一発屋芸人列伝』などとともに『本の雑誌』2018年ノンフィクション部門ベスト10入り。本人や関係者への取材、膨大な一次資料、視聴率などを用いて1980年代以降のテレビ史や芸能史を丹念に考察している。