ココカラファインとの経営統合にこぎつけ業界首位に躍り出るマツモトキヨシ

ココカラファインとの経営統合にこぎつけ業界首位に躍り出るマツモトキヨシ

◆イオン会長がウエルシア創業者から託された「遺言」

「ウエルシアを日本一のドラッグストアにしてください」

 イオンの岡田元也(当時社長で現会長)が、ウエルシアの創業者、鈴木孝之から受け取った「遺言」である。

 岡田が国立がん研究センター中央病院を訪れたのは、2014年2月21日のことだった。医師に余命数か月と宣告されていた鈴木は、岡田を招き、こう語りかけた。「俺はもう後がない。ウエルシアを守ってくれないか」。岡田は言葉少なに「わかりました」と応じたという。

 鈴木は抗がん剤治療を止めるよう医師に伝え、3月13日に息を引き取った。享年76歳。

 鈴木は明治薬科大学卒業後の1965年、埼玉県春日部市に鈴木薬局を開業。薬剤師だったことから、当時としては珍しい「調剤併設の薬局」だった。グリーンクロスと改組したのち、医薬分業の時代がやって来ることを見越し、調剤併設店を拡大する。

 その後、M&A(合併・買収)を繰り返し業容を拡大。2008年、持ち株会社グローウエルホールディングス(現・ウエルシアHD)を設立し、会長に収まった。そして、調剤薬局を併設するドラッグストアとして圧倒的な地位を築いたのである。

 イオンの岡田にとって、鈴木の申し出は渡りに船だった。イオンは旧ジャスコ時代から「ゆるやかな連帯」によるグループ経営を目指し、各地のドラックストアに1~3割程度出資していた。

 2001年には、ウエルシアやツルハホールディングス(HD)など出資先を束ねる「イオン・ウエルシア・ストアーズ」(現ハピコム)を結成し、医薬品など自主企画商品の共通化に取り組んできた。

「鈴木さんの日本一になるという夢を、是非とも実現したい」。岡田はこう宣言し、ウエルシアHDをイオンの連結子会社に組み入れた。

関連記事

トピックス

水原一平氏のSNS周りでは1人の少女に注目が集まる(時事通信フォト)
水原一平氏とインフルエンサー少女 “副業のアンバサダー”が「ベンチ入り」「大谷翔平のホームランボールをゲット」の謎、SNS投稿は削除済
週刊ポスト
解散を発表した尼神インター(時事通信フォト)
《尼神インター解散の背景》「時間の問題だった」20キロ減ダイエットで“美容”に心酔の誠子、お笑いに熱心な渚との“埋まらなかった溝”
NEWSポストセブン
水原一平氏はカモにされていたとも(写真/共同通信社)
《胴元にとってカモだった水原一平氏》違法賭博問題、大谷翔平への懸念は「偽証」の罪に問われるケース“最高で5年の連邦刑務所行き”
女性セブン
富田靖子
富田靖子、ダンサー夫との離婚を発表 3年も隠していた背景にあったのは「母親役のイメージ」影響への不安か
女性セブン
尊富士
新入幕優勝・尊富士の伊勢ヶ濱部屋に元横綱・白鵬が転籍 照ノ富士との因縁ほか複雑すぎる人間関係トラブルの懸念
週刊ポスト
《愛子さま、単身で初の伊勢訪問》三重と奈良で訪れた2日間の足跡をたどる
《愛子さま、単身で初の伊勢訪問》三重と奈良で訪れた2日間の足跡をたどる
女性セブン
水原一平氏と大谷翔平(時事通信フォト)
「学歴詐称」疑惑、「怪しげな副業」情報も浮上…違法賭博の水原一平氏“ウソと流浪の経歴” 現在は「妻と一緒に姿を消した」
女性セブン
『志村けんのだいじょうぶだぁ』に出演していた松本典子(左・オフィシャルHPより)、志村けん(右・時事通信フォト)
《松本典子が芸能界復帰》志村けんさんへの感謝と後悔を語る “変顔コント”でファン離れも「あのとき断っていたらアイドルも続いていなかった」
NEWSポストセブン
水原氏の騒動発覚直前のタイミングの大谷と結婚相手・真美子さんの姿をキャッチ
【発覚直前の姿】結婚相手・真美子さんは大谷翔平のもとに駆け寄って…水原一平氏解雇騒動前、大谷夫妻の神対応
NEWSポストセブン
違法賭博に関与したと報じられた水原一平氏
《大谷翔平が声明》水原一平氏「ギリギリの生活」で模索していた“ドッグフードビジネス” 現在は紹介文を変更
NEWSポストセブン
カンニング竹山、前を向くきっかけとなった木梨憲武の助言「すべてを遊べ、仕事も遊びにするんだ」
カンニング竹山、前を向くきっかけとなった木梨憲武の助言「すべてを遊べ、仕事も遊びにするんだ」
女性セブン
大ヒットしたスラムダンク劇場版。10-FEET(左からKOUICHI、TAKUMA、NAOKI)の「第ゼロ感」も知らない人はいないほど大ヒット
《緊迫の紅白歌合戦》スラダン主題歌『10-FEET』の「中指を立てるパフォーマンス」にNHKが“絶対にするなよ”と念押しの理由
NEWSポストセブン