◆ウエルシア、ツルハ経営統合の可能性

 首位奪還の決め手は、ドラッグストア連合であるハピコムに加わる企業との経営統合だ。現在、ハピコムは21社、全国5000店のドラッグストア・調剤薬局で構成される、国内最大級のグループである。業界1位のウエルシアと2位のツルハがハピコムの二枚看板だ。

 イオンはツルハと関係が最も古く、1995年にジャスコ(現・イオン)とツルハ(現・ツルハHD)が資本・業務提携した。ウエルシアはイオンが50.54%(2019年8月末時点)の株式を保有する連結子会社。ツルハはイオンが12.82%(同年5月末時点)を保有する筆頭株主である。

 そこで、「ウエルシアとツルハの経営統合の仲立ちを岡田さんがするのではないか」との観測が業界を駆け巡っている。両社が統合すれば、売上高1兆6700億円、店舗数4100店。マツキヨ・ココカラ連合に圧倒的な差をつけることができる。

 ウエルシアHD社長の松本忠久は、専門誌『販売革新』(2020年2月号)で「イオンと資本関係があるツルハHDやハピコムに加盟しているクスリのアオキHDと統合する可能性」について問われ、

〈皆さんそう言われますが、私たちは気配も感じていません。多分ないと思います〉

 と語っている。フェイクかそれとも本音か、ウエルシアは柿が熟して落ちるのを待つ作戦ではないかと筆者はみている。

 いずれドラッグストア業界も、コンビニと同じで3強の時代がやってくる。1つは医薬特化型のウエルシア。2つ目は化粧品特化型のマツキヨ・ココカラファイン連合。残る1つは食品特化型だ。

 多くのドラッグストアは食品特化型だが、今のところ同分野ではツルハに一日の長がある。「北海道のコンビニで独自色を打ち出すセイコーマートのような存在」(ライバル企業の幹部)といわれるツルハは、すんなりとウエルシアとの統合呼びかけに応じるのだろうか。

 イオン・岡田会長の“友情ある説得”がどこまで功を奏するか──にかかっているのかもしれない。

(敬称略)

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