厚労省の文書にある重症患者7400人どころか、数百人でも一度に受け入れるのは厳しい状況だ。そうなると、“患者の選別”という難しい問題も出てくる。
「たとえば90歳で寝たきりの患者が新型コロナによる肺炎を悪化させたケースでは回復が難しく、一般病床での看取りを選ぶことが増えていくと考えられる。それに対して、若く健康な人が重症化したケースでは回復の可能性が高く、人工呼吸器をつけてICUで手を尽くす方向になるでしょう。
難しいのはその間の世代。ICUに余裕があれば積極的に治療できるが、空きがなければ十分な治療が難しくなってしまう」(同前)
そうした検査難民、入院難民、重症難民をなくすには、新型コロナ対応を水際作戦から慢性期の治療重視へと切り替えるなどの政策判断が必要になる。
※週刊ポスト2020年4月3日号