芸能

古今亭文菊 独特の気取りが突きぬけ威厳のある品の良さに

古今亭文菊の魅力とは(イラスト/三遊亭兼好)

 音楽誌『BURRN!』編集長の広瀬和生氏は、1970年代からの落語ファンで、ほぼ毎日ナマの高座に接している。広瀬氏の週刊ポスト連載「落語の目利き」より、気取った感じを突き抜けて、妖しい魅力を生み出した古今亭文菊についてお届けする。

 * * *
 最近、古今亭文菊の「妖しい魅力」にハマっている。

 文菊の大きな特徴は、独特の「気取った」物腰。膝を深く落とす勿体ぶった歩き方で高座に現われ、「自分でも嫌なのね、この気取った雰囲気。皆さんの、その突き刺さるような視線……」などと自虐的に語るのが寄席での文菊の定番だ。

 その「気取った感じ」が以前より遥かに突きぬけていて、落語そのものに「妖しい魅力」を生んでいると気付いたのは、今年2月11日の上野鈴本演芸場の夜席で文菊の『あくび指南』に遭遇した時だ。

 この芝居の主任は三遊亭鬼丸。僕は鬼丸のドライな笑いのセンスが好きで、足を運んだのは鬼丸目当て。文菊の出番はその2つ前だった。

 文菊の『あくび指南』は柳家喜多八の型。つまり春風亭一之輔とルーツは同じだが、文菊は、豪快に暴走する一之輔とはまったく別の妖しい方向へこの噺を進化させ、爆笑を誘った。時に素っ頓狂な声を張り上げてみせるメリハリの効いた演技の可笑しさは、昔とは別人のようだ。

関連キーワード

関連記事

トピックス

NHK中川安奈アナウンサー(本人のインスタグラムより)
《広島局に突如登場》“けしからんインスタ”の中川安奈アナ、写真投稿に異変 社員からは「どうしたの?」の声
NEWSポストセブン
カラオケ大会を開催した中条きよし・維新参院議員
中条きよし・維新参院議員 芸能活動引退のはずが「カラオケ大会」で“おひねり営業”の現場
NEWSポストセブン
コーチェラの出演を終え、「すごく刺激なりました。最高でした!」とコメントした平野
コーチェラ出演のNumber_i、現地音楽関係者は驚きの称賛で「世界進出は思ったより早く進む」の声 ロスの空港では大勢のファンに神対応も
女性セブン
文房具店「Paper Plant」内で取材を受けてくれたフリーディアさん
《タレント・元こずえ鈴が華麗なる転身》LA在住「ドジャー・スタジアム」近隣でショップ経営「大谷選手の入団後はお客さんがたくさん来るようになりました」
NEWSポストセブン
元通訳の水谷氏には追起訴の可能性も出てきた
【明らかになった水原一平容疑者の手口】大谷翔平の口座を第三者の目が及ばないように工作か 仲介した仕事でのピンハネ疑惑も
女性セブン
襲撃翌日には、大分で参院補選の応援演説に立った(時事通信フォト)
「犯人は黙秘」「動機は不明」の岸田首相襲撃テロから1年 各県警に「専門部署」新設、警備強化で「選挙演説のスキ」は埋められるのか
NEWSポストセブン
歌う中森明菜
《独占告白》中森明菜と“36年絶縁”の実兄が語る「家族断絶」とエール、「いまこそ伝えたいことが山ほどある」
女性セブン
大谷翔平と妻の真美子さん(時事通信フォト、ドジャースのインスタグラムより)
《真美子さんの献身》大谷翔平が進めていた「水原離れ」 描いていた“新生活”と変化したファッションセンス
NEWSポストセブン
羽生結弦の元妻・末延麻裕子がテレビ出演
《離婚後初めて》羽生結弦の元妻・末延麻裕子さんがTV生出演 饒舌なトークを披露も唯一口を閉ざした話題
女性セブン
古手川祐子
《独占》事実上の“引退状態”にある古手川祐子、娘が語る“意外な今”「気力も体力も衰えてしまったみたいで…」
女性セブン
ドジャース・大谷翔平選手、元通訳の水原一平容疑者
《真美子さんを守る》水原一平氏の“最後の悪あがき”を拒否した大谷翔平 直前に見せていた「ホテルでの覚悟溢れる行動」
NEWSポストセブン
5月31日付でJTマーヴェラスから退部となった吉原知子監督(時事通信フォト)
《女子バレー元日本代表主将が電撃退部の真相》「Vリーグ優勝5回」の功労者が「監督クビ」の背景と今後の去就
NEWSポストセブン