これらの措置以外にも、林鄭長官は香港内で実施される特別な措置のなかに、今後当分「禁酒令」を施行することを発表した。これについて、香港メディアはテレビや新聞のいずれも「極めて異例な措置」や「香港発の禁酒令」「アメリカのアルカポネ時代に逆戻り」などと報じたメディアも出るなど、大きな反響を呼んだ。
ネット上では、「林鄭長官が2月下旬に新型肺炎対策で、香港市民1人当たりに1万香港ドル(約14万2000円)を支給するなど生活や経済面の支援強化策を打ち出した時には、立派な政治家で、庶民の心が分かっていると思ったが、今回の禁酒令は幻滅だ。やはり、彼女はエリートだけに、庶民の心が分かっていない」など長官批判の書き込みがみられる。
また、林鄭長官は新型肺炎対策でイスラム教徒から総スカンを食っている。香港の九龍半島随一のイスラム教寺院を当面閉鎖したからだ。この寺院は100年以上続いており、香港中のイスラム教徒が礼拝に訪れており、毎日5回礼拝時には少なくとも200人以上が参加する。そのため、信者の濃厚接触から感染者が絶えず、クラスター感染の危険があるとして、閉鎖のやむなきに至ったが、林鄭長官は香港のイスラム教徒から「信教の自由を侵害した」などとして批判の対象となっている。
こうした命令について、「一部地域での禁酒とか、寺院内での濃厚接触を避けるために間隔を2m開けるなどの適度な措置を講じていれば、反発は抑えられただけに、ラム長官の高圧的な姿勢が裏目に出た形だ」などの批判が出ている。