国内

コロナ禍で東京と地方に断絶発生か 帰省する人に厳しい視線

マスクを着用した乗客が目立つ高速バス乗り場(時事通信フォト)

マスクを着用した乗客が目立つ高速バス乗り場(時事通信フォト)

 新型コロナウイルスの感染拡大に伴う混乱は、いったんおさまる兆しが見えたような気がしたが、どうも簡単には収束とはいかないようだ。感染者数を都道府県別にみると、都市部に多く発生していることがわかる。そのためか、地方では新型コロナウイルスの受け止め方が都市部とはまだ異なるようだ。そのギャップによって起きるすれ違いについて、ライターの森鷹久氏がレポートする。

 * * *
「リモートワークにもなったし子供も休校。ちょうどいい機会だからと家族で実家に帰省したんだけど、まさかこんな風に言われるなんて。地元だけど、田舎が嫌いになりそうです」

 と本音を漏らしたのは、筆者と同じ九州出身で都内在住の西本悟さん(仮名・30代)。新型コロナウイルス感染拡大の影響で、会社は出勤不要のリモートワーク、子供の学校も休校になった、ことをうけて、三月中旬ごろから家族で実家に帰省している。祖父母の温かい眼差しに包まれながら、九州の大自然の中で無邪気に遊びまわる子供を見て「こういう非日常も悪くはない」と思っていた矢先、近隣住人から向けられたのは、考えもしなかった「疑いの目」だった。

「東京から帰ってきたということは、コロナ(感染者)じゃないか。コロナは年寄りを殺すし、なんで帰省させているんだ、両親は近隣住人からそう責め立てられたそうです」(西本さん)

 西本さんも筆者も、この近隣住人の気持ちがわからないわけではない。例えば一月の下旬、中国・武漢で新型コロナウイルスの爆発的感染拡大が明らかになると、電車内で中国人観光客を見るだけで、得体の知れぬ不安に襲われた。マスクをせずに咳をする人を見れば、なんと無神経だと腹が立った。武漢からチャーター便で帰国した人々の一時滞在先にもなった千葉県内のホテルでは、近隣住人からも不満の声が相次いだことも記憶に新しい。

「はっきり言って、全て他人事だったんだと思います。今こうして、東京の人間だというだけで敬遠されて初めて、差別について、そしてウイルスや感染症の本当の怖さについて知った気持ちになります」(西本さん)

 筆者の地元在住の友人も、差別するわけではないが、という前提の上で次のように話す。

「ここに来てうちの県からも感染者が出て、どこの誰が感染者ではないかとあっという間に噂が広まった。そしてついに感染者が誰か発覚すると、こんな時期に遊びまわっていたからとか、家族は何をしていたんだとか、身内までバッシングに晒されている。感染者に重篤な症状は出ていないようだが、ウイルスに関する怖さは確かにある。今、都心に住むお前(筆者)が帰ってきて一緒に飲もうと誘われたら、悪いけど少し考えると思う」(筆者の友人)

関連記事

トピックス

11歳年上の交際相手に殺害されたとされるチャンタール・バダルさん(21)。アルバイトをしながら日本語を学んでいた
「ホテルで胸を…」11歳年上の交際相手女性・浅香真美容疑者(32)に殺害されたバダルさん(21)の“魅力的な素顔”を兄が告白【千葉・ネパール人殺害】
佳子さまの“着帽なし”の装いが物議を醸している(写真/共同通信社)
「マナーとして大丈夫なのか」と心配の声も…佳子さま“脱帽ファッション”に込められた「姉の眞子さんから受け継ぐ」日本の伝統文化への思い
週刊ポスト
「秋の園遊会」に出席された天皇皇后両陛下の長女・愛子さま(2025年10月28日、撮影/JMPA)
《秋の園遊会》 赤色&花の飾りで“仲良し”コーデ 愛子さまは上品なきれいめスタイル、佳子さまはガーリーなデザイン
NEWSポストセブン
(写真/アフロ)
《155億円はどこに》ルーブル美術館強盗事件、侵入から逃走まで7分間の「驚きの手口」 盗まれた品は「二度と表世界には戻ってこない」、蒐集家が発注の可能性も 
女性セブン
真美子さんが“奥様会”の写真に登場するたびに話題に(Instagram /時事通信フォト)
《ピチピチTシャツをデニムジャケットで覆って》大谷翔平の妻・真美子さん「奥様会」での活動を支える“元モデル先輩ママ” 横並びで笑顔を見せて
NEWSポストセブン
ミントグリーンのワンピースをお召しになった佳子さま(写真はブラジル訪問時。時事通信フォト)
《ふっくらした“ふんわり服”に》秋篠宮家・佳子さまが2度目の滋賀訪問で表現した“自分らしい胸元スッキリアレンジ”、スタイリストが解説
NEWSポストセブン
クマによる被害が相次いでいる(左・イメージマート)
《男女4人死傷の“秋田殺人グマ”》被害者には「顔に大きく爪で抉られた痕跡」、「クラクションを鳴らしたら軽トラに突進」目撃者男性を襲った恐怖の一幕
NEWSポストセブン
遠藤
人気力士・遠藤の引退で「北陣」を襲名していた元・天鎧鵬が退職 認められないはずの年寄名跡“借株”が残存し、大物引退のたびに玉突きで名跡がコロコロ変わる珍現象が多発
NEWSポストセブン
「全国障害者スポーツ大会」を観戦された秋篠宮家・次女の佳子さま(2025年10月26日、撮影/JMPA)
《注文が殺到》佳子さま、賛否を呼んだ“クッキリドレス”に合わせたイヤリングに…鮮やかな5万5000円ワンピで魅せたスタイリッシュなコーデ
NEWSポストセブン
本拠地で大活躍を見せた大谷翔平と、妻の真美子さん
《スイートルームを指差して…》大谷翔平がホームラン後に見せた“真美子さんポーズ”「妻が見に来てるんだ」周囲に明かす“等身大でいられる関係”
NEWSポストセブン
女優・八千草薫さんの自宅が取り壊されていることがわかった
《女優・八千草薫の取り壊された3億円豪邸の今》「亡き夫との庭を遺してほしい」医者から余命宣告に死の直前まで奔走した土地の現状
NEWSポストセブン
左から六代目山口組・司忍組長、六代目山口組・高山清司相談役/時事通信フォト、共同通信社)
「六代目山口組で敵う人はいない」司忍組長以上とも言われる高山清司相談役の“権力” 私生活は「100坪豪邸で動画配信サービス視聴」も
NEWSポストセブン