作中には佐々さんの両親も登場する。10年にわたり、父親は母親のそばを片時も離れず、自宅で完璧に介護した。母を幸せだと思う一方、自分にはとてもできないと思った。もし介護される側になったら、介護する人を精神的に支えられるだろうかとも考えたという。
「2人は元気なときから仲がよかった。やはり人は生きてきたようにしか死ねないのだと思います」
佐々さんはこの本を書いて人生観が変わったと話す。亡くなった人たちは多くのことを教えてくれた。自分は彼らのように命がけで生きてきただろうか、と。
「森山さんは怒ったり悲しんだりしてる暇はないんだと言いました。私も落ち込まなくなり、日々の一つひとつのことが幸せだと思えるようになりました」
◆取材・構成/仲宇佐ゆり
※女性セブン2020年4月16日号