◆2か月の休園で機会損失はどのくらい?
TDRの2019年3月期の来園者数は3255万人。前年より8%増え、4年ぶりに過去最高を更新した。1日当たり8万~9万人が訪れており、休日には10万人以上の来園者をコンスタントにキープしている。
投資家が注視するのは休園が業績に与える影響よりも、その後の回復力だ。テーマパークの復元力といってもいい。
オリエンタルランドの2020年3月期の連結営業利益の予想は、2019年3月期比16%減の1088億円と、もともとマイナス成長を見込んでいた。コロナ休園が2か月続くことになり、従来予想の大幅な下方修正は避けられないが、考えられるすべての損失を一気に吐き出し、2021年3月期にV字回復を目指すのが賢い経営判断である。
これは極論になるが、下方修正の額が大きくなればなるほど、2021年同期の利益はプラスの方向への振れ幅が大きくなる。オリエンタルランドの加賀美俊夫会長、上西京一郎社長も絵に描いたようなV字回復を狙うだろう。
参考になるのは、東日本大震災直後に休園した際の影響だ。2011年3月期に「災害による損失」として97億円を計上した。アナリストは「休園が2か月続けば、大人1人7500円のチケット分の利益だけで300億円程度の営業利益の下振れ要因になる」と試算している。2020年3月決算で営業利益の目減りが300億円をかなり上回るようなら、それは経営陣の先行きに対する自信の表れと考えたらいい。
回復は早いと見る市場関係者が多いのは、新アトラクションが目白押しだからである。
◆2500億円を投じた8つ目の新エリア
TDSに設ける8つ目の新エリア「ファンタジースプリングス」の開業を2023年度としている。2500億円を投資した「アナと雪の女王」のアトラクションなどを導入する。今回の拡張は、3400億円を投じてTDSを2001年に開業して以来の大規模なもので、営業エリアは2割程度増える。
新エリアには「アナ雪」の世界観を体験できるアトラクションに加え、ディズニー映画「塔の上のラプンツエル」や「ピーター・パン」をテーマとする4つのアトラクションを新設する。