国内

世代を超え再評価熱高まる田嶋陽子さん「時代が追いついた」

男性陣をタジタジにしてきた田嶋陽子氏(撮影/菅井淳子)

「漢字の『人』は人と人が支えあってなんて言うけど、あれはウソだね。人というのはただひとりで立っている姿を横から見た形(※白川静『常用字解』より)。支えあう、なんてデタラメ。あとね、『親』は親が木の上に立って子供を見るというのも違う。親の位牌を作る木を選んで、それで作った位牌を見て拝んだ形。それが漢字の語源。

 みんな自分に都合いいように好き勝手言うけど、全然違ったりする。だから女の人はもっと勉強して人の言いなりにならないこと。やっぱり女性誌は、そういうことを発信しないといけないよ」

 3月下旬、まだ寒さの残る東京都内の取材場所に懐かしい早口の言葉が響く。金のメッシュにカラフルなスカーフ、ビビッドなイエローのコートをまとってこの場に颯爽と現れたのは、田嶋陽子さん(78才)。

 実年齢より20才も30才も若々しく感じられる彼女は、現在、テレビ出演やトークショーはもちろん、シャンソン歌手としても活躍。絵と書道をミックスした「書アート」にも熱中し、ひとりで暮らす長野・軽井沢と東京を往復する忙しい毎日を送る。

 時代の変化とともに、ふたたび脚光を浴びることになった「怒れるフェミニスト」は、紅茶を一口のむと一息に言い放った──。

 1990年代に彗星のごとく登場して歯に衣着せぬ物言いで注目を集め、あっという間にお茶の間の人気者になった田嶋さん。

 そんな彼女を“再評価”する声が日増しに高まっている。

 きっかけは2019年秋だった。創刊まもないフェミニスト雑誌『エトセトラ』が「We Love 田嶋陽子!」と銘打って一冊丸ごと田嶋陽子特集を組んだこと、そして1992年に出版された田嶋さんの著書『愛という名の支配』が新潮文庫で復刊されたことを機に、新聞、ラジオ、雑誌などが続々と田嶋さんをフィーチャーするようになったのだ。

《彼女は明晰な分析力を持つ研究好きの大学教授であり、恋愛経験によって生い立ちのトラウマを克服していった知性の人である。そんな嘘のない人を、嫌いになんかなれない。田嶋さんをテレビで見るようになってから、実に二十数年のタイムラグを経て、わたしは彼女のことが大好きになった》

 そんな熱のこもった解説文を、復刊された『愛という名の支配』に寄せたのは作家の山内マリコさんだ。

関連記事

トピックス

今季から選手活動を休止することを発表したカーリング女子の本橋麻里(Xより)
《日本が変わってきてますね》ロコ・ソラーレ本橋麻里氏がSNSで参院選投票を促す理由 講演する機会が増えて…支持政党を「推し」と呼ぶ若者にも見解
NEWSポストセブン
白石隆浩死刑囚
《女性を家に連れ込むのが得意》座間9人殺害・白石死刑囚が明かしていた「金を奪って強引な性行為をしてから殺害」のスリル…あまりにも身勝手な主張【死刑執行】
NEWSポストセブン
失言後に記者会見を開いた自民党の鶴保庸介氏(時事通信フォト)
「運のいいことに…」「卒業証書チラ見せ」…失言や騒動で謝罪した政治家たちの実例に学ぶ“やっちゃいけない謝り方”
NEWSポストセブン
球種構成に明らかな変化が(時事通信フォト)
大谷翔平の前半戦の投球「直球が6割超」で見えた“最強の進化”、しかしメジャーでは“フォーシームが決め球”の選手はおらず、組み立てを試行錯誤している段階か
週刊ポスト
参議院選挙に向けてある動きが起こっている(時事通信フォト)
《“参政党ブーム”で割れる歌舞伎町》「俺は彼らに賭けますよ」(ホスト)vs.「トー横の希望と参政党は真逆の存在」(トー横キッズ)取材で見えた若者のリアルな政治意識とは
NEWSポストセブン
ベビーシッターに加えてチャイルドマインダーの資格も取得(横澤夏子公式インスタグラムより)
芸人・横澤夏子の「婚活」で学んだ“ママの人間関係構築術”「スーパー&パークを話のタネに」「LINE IDは減るもんじゃない」
NEWSポストセブン
LINEヤフー現役社員の木村絵里子さん
LINEヤフー現役社員がグラビア挑戦で美しいカラダを披露「上司や同僚も応援してくれています」
NEWSポストセブン
モンゴル滞在を終えて帰国された雅子さま(撮影/JMPA)
雅子さま、戦後80年の“かつてないほどの公務の連続”で体調は極限に近い状態か 夏の3度の静養に愛子さまが同行、スケジュールは美智子さまへの配慮も 
女性セブン
場所前には苦悩も明かしていた新横綱・大の里
新横綱・大の里、場所前に明かしていた苦悩と覚悟 苦手の名古屋場所は「唯一無二の横綱」への起点場所となるか
週刊ポスト
医療的ケア児の娘を殺害した母親の公判が行われた(左はイメージ/Getty、右は福岡地裁)
24時間介護が必要な「医療的ケア児の娘」を殺害…無理心中を計った母親の“心の線”を切った「夫の何気ない言葉」【判決・執行猶予付き懲役3年】
NEWSポストセブン
近況について語った渡邊渚さん(撮影/西條彰仁)
渡邊渚さんが綴る自身の「健康状態」の変化 PTSD発症から2年が経ち「生きることを選択できるようになってきた」
NEWSポストセブン
昨年12月23日、福島県喜多方市の山間部にある民家にクマが出現した(写真はイメージです)
《またもクレーム殺到》「クマを殺すな」「クマがいる土地に人間が住んでるんだ!」ヒグマ駆除後に北海道の役場に電話相次ぐ…猟友会は「ヒグマの肉食化が進んでいる」と警鐘
NEWSポストセブン