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コロナで存亡の危機を迎えた百貨店 身売りや再編が加速か

4月8日から全館臨時休業している伊勢丹・新宿店(時事通信フォト)

4月8日から全館臨時休業している伊勢丹・新宿店(時事通信フォト)

 新型コロナウイルスの感染拡大に伴う政府や自治体の自粛・休業要請を受け、次々と臨時休業に追い込まれている百貨店。売り上げの大半を占めていた都心の旗艦店は“インバウンド・バブル”に沸いていただけに、長期間に及ぶコロナショックのダメージは計り知れない。ジャーナリストの有森隆氏が、存亡の危機を迎えた百貨店業界の今後を占う。

 * * *
 7都府県を対象にした政府の緊急事態宣言を受け、百貨店各社は食品売り場を営業するかどうかで対応が分かれた。宣言が出る前の4月6日夜、東京都が公表した対応案で、休業を要請する業種に百貨店が含まれていたこともあり、百貨店大手は翌7日、当面の臨時休業を相次ぎ公表した。

 これに、政府側はすぐさま反応した。「なんて勝手なことをしてくれるんだ!」。宣言が出た4月7日夜、大手4社のトップが東京・霞が関の経済産業省に呼ばれ、宣言前に当面の休業を決めたことを、こう非難された。政府は食料品を売る「デパ地下」は営業を続けてほしいと考えていたからである。「人の死より、経済(景気)を優先した」と皮肉る関係者もいる。

 その後、東京都の小池百合子知事と西村康稔経済財政担当相が、休業を要請する業種の綱引きを演じた。4月10日、都は百貨店については国の見解を受け入れ、休業の対象外とした。結局、政府(経産省)と東京都の方針が異なり、百貨店業界は振り回された。

 4月8日からの全面休業を早々に決めたのは、三越伊勢丹ホールディングス(HD)と松屋だ。三越伊勢丹HDは三越日本橋本店や伊勢丹新宿本店など首都圏6店と小型店27店に加え、オンラインショップも休止。食品売り場も休業する。松屋は銀座本店と浅草店を全館休業とした。

 大丸松坂屋百貨店は大丸心斎橋店、梅田店や東京店、松坂屋上野店、博多大丸(大丸福岡天神店)など7店を閉めた。ただ、郊外店の大丸須磨店と松坂屋高槻店は食品売り場のみ営業時間を短縮して営業する。営業時間は10時~18時だ。

 当初から食品売り場の営業を継続するのは、高島屋とそごう・西武。高島屋は百貨店・専門店12施設で、そごう・西武も西武池袋本店や西武渋谷店など9店で、それぞれ食品売り場の時短営業を決めた。

 小池知事が方針を撤回したとはいえ、「わざわざJRや私鉄に乗って、デパ地下に、どれだけの客が来るのか」といった恨み節が聞こえてくる。

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